東芝が、EVバスの運行および電池の再利用に関する検証を実施すると発表。東京都港区で運行しているコミュニティバス「ちぃばす」の路線を活用し、交通システムの構築においては国内外で多数の実績がある、株式会社オリエンタルコンサルタンツと共同で行うという。
今回の実証研究事業は、環境省の実施する「平成24年度地球温暖化対策技術開発・実証研究事業」において、東京都港区におけるEVバス運行および電池再利用に関する実証研究に関する委託先として選定されたことによるもの。
実証研究では、バスの電池に同社製二次電池「SCiB」を用い、電池容量を乗用車型EV並みの30kWh以下に抑え、一日に6~8回の急速充電を行うとのこと。従来のリチウム電池では、このような高頻度の急速充電を行うと電池寿命が著しく短くなるが、「SCiB」は急速充電、長寿命特性に優れているため、電池交換サイクルの長期化が可能だという。また充電システムには、同社が開発した定置用蓄電池「スマートバッテリ」を応用すること、走行余力として必要な電池容量の50%からフル充電までの時間が約5分と、給油時間に近い充電が可能だという。さらに、出力不足になった車載用電池を定置用蓄電池「スマートバッテリ」に再利用する技術の検証も行うとのこと。
本年度から本格普及が始まるとみられているEV車。しかし走行距離や充電時間・電池寿命にインフラ整備など、課題も多いのが現状である。このような中、短い停車時間での連続運行を終日行うコミュニティバスでの実証研究は、その性能を向上させる非常に優位なものと言えるであろう。この実証研究中にガソリン車と遜色ない程度にまでインフラ整備が進めば、向上した性能や電池再利用システムの確立と相俟って、急速な普及への弾みとなる。今回の実証研究に限らず、現在は検証段階の導入が多いEV車。となると、EV車の本格的な普及は少しずれ込み、来年度以降になるのかもしれない。