消費税増税、関西電力大飯原発再稼動、沖縄へのオスプレイ配備などなど、重要案件が次々決まる。「先送りしないで決める政治」という。
消費税増税、原発再稼動は国民世論を二分する重要案件だったが、野田総理の思い通りの結論に導かれた。
というより「結論が先にあって、議論して時間をかけても説明するだけで、結論を変える気などないようです」。消費税増税に反対し小沢一郎氏とともに離党した衆議院議員の秘書が「代議士がそういっていた」と語る。
「時間をかけて議論したというが、結局、いくら時間をかけても結論ありきですから」。反対勢力の説得にあたっているだけで、議題そのものの案件を没にするのか、生かすのかまで深堀するのではなく、没は最初からない議論なのだと。
結果、消費税増税に反対する議員は去ってよしと無言の意思表示。消費税増税は党代表選挙のときから意思表示してきたと自らの意志を貫いた。
関西電力大飯原発3号機、4号機の再稼動も4閣僚で最終的な政治判断を行ったが、専門家の委員会での審議が尽くされていないという委員の意見は黙殺され、6月16日に再稼動が決定された。7月から起動した。
野田総理は再稼動の結論を導き出す前の6月8日の記者会見で「国民生活を守ることは国として果たさなければならない最大の責務」とし「福島を襲ったような地震と津波があっても事故を防止できる対策と体制は整っている」と明言した。つまり、この時点で総理は安全宣言をし、再稼動を念頭に置いていた。
しかも「夏場の短期的な電力需給の問題だけでない。化石燃料依存を増やして電力価格が高騰すれば小売店や中小企業、家庭にも影響が及ぶ」と述べたあとに「空洞化が加速して雇用の場が失われてしまう。夏場限定の再稼動では国民の生活は守れません」と堂々、再稼動をこの日の記者会見で宣言していた。
総理は原発を止めたままでは日本の社会は立ち行かない。原発は重要な電源との考えを最初から自身の考えの中に持っていて、脱原発依存の社会を求める過半の世論には「2030年代に実現する」ことは閣議決定せず、社会保障の具体内容を国民会議に先送りしたように、やはり先送りして逃げてしまった。
それは、野田総理が本音の部分で電力価格の高騰で産業の空洞化が進み、国内雇用が失われ、国民生活が守れなくなると財界や経済界の事業経営の論理からの主張と同じ目線にあるからではないのか。
野田総理は「再稼動させないことによって、生活の安心が脅かされることがあってはならない」と8日の記者会見で表明している。16日の4閣僚(総理、官房長官、経済産業大臣、原発事故担当大臣)の会合の結論は総理の意思を確認し、表明したようなものだった。
オスプレイの沖縄配備でもそうだ。地元の理解を得るために丁寧に説明するのであって、配備しないことは前提になかった。配備に反対する仲井眞弘多沖縄県知事が総理や閣僚との会見後に言ったことば。「結論ありきだ」。(編集担当:森高龍二)