医療資源の不足や地域による偏りを解消する手段として、デジタル機器と通信技術を用いて診療を提供する遠隔医療への期待が高まっている。こうしたなか、政府も遠隔診療の本格導入に向けて積極的な姿勢を示しており、7月14日には厚生労働省の通達により隔診療の基準について再度周知及び明確化がなされている。
医療資源の不足や地域による偏りを解消する手段として、デジタル機器と通信技術を用いて診療を提供する遠隔医療への期待が高まっている。こうしたなか、政府も遠隔診療の本格導入に向けて積極的な姿勢を示しており、7月14日には厚生労働省の通達により隔診療の基準について再度周知及び明確化がなされている。これによれば、対面診療の替わりに「テレビ電話や、電子メール、ソーシャルネットワーキングサービス等の情報通信機器を組み合わせた遠隔診療」を実施することが法的に問題ないことが示されている。これに対してシェアメディカルは、医療従事者用チャットサービス「メディライン」が同基準に対応した機能を追加したことを発表した。
今年4月に開催された「第7回未来投資会議」では、安倍首相により、2018年度診療報酬改定で遠隔診療への評価を盛り込む方針が示された。これにより、遠隔診療の活用促進に向けた取り組みが本格化している。遠隔診療への参入に対して、病院や企業が踏みとどまっていた要因の一つに、遠隔診療提供基準のわかりにくさがあったことから、7月14日には遠隔診療の基準の再度周知及び明確化を目的とした通達がなされた。これによれば、「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」 )について」で基準に挙げられた「離島、へき地の患者」や、「在宅酸素療 法を行っている患者」が「あくまで例示」で、こうした極端な例以外での活用可能性が示されているほか、「テレビ電話や、電子メール、ソーシャルネットワーキングサービス等の 情報通信機器を組み合わせた遠隔診療についても、直接の対面診療に代替し 得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合」について「直ちに医師法第20条等に抵触するものではない」としている。
シェアメディカルは、メディラインが備える動画・静止画・音声の送受信機能とチャット機能を組み合わせることで、この要件を満たすと判断。メディラインのアカウントに「患者さんアカウントモード」を新たに追加した。医療者と患者が一対一でつながり、遠隔診療を行えるようにしている。遠隔医療が普及することで通院が困難な人への定期的な診療が可能になるほか、不安や羞恥心がハードルとなっている通院も容易となり、疾患の早期発見にもつながる。メディライン同様の機能を実装したサービスが今後も出てくると考えられ、診療報酬の改定でいよいよ遠隔診療導入が本格化しそうだ。(編集担当:久保田雄城)