三菱重工業と日立製作所が、火力発電システムを主体とする分野で事業を統合し、共同で運営すると発表。2014年1月1日を目途として、三菱重工が65%、日立が35%を出資する合弁会社に、両社の火力発電システムを主体とする事業をそれぞれ集約する。
これまでも、製鉄機械分野における提携、その後の合弁会社設立、海外向け都市交通システム事業における協業や水力発電システム事業統合、さらには東京電力株式会社福島第一原子力発電所に対する共同支援など、さまざまな分野において連携を深めていた両社。これらで培ったパートナーシップを礎に、世界的に旺盛な火力発電システムの需要に応え、激化するグローバル競争を勝ち抜くために、事業統合に至ったとのこと。なお、今回統合される事業範囲には、火力発電システムだけでなく、地熱発電システム事業や環境装置事業・燃料電池事業も含まれ、両社直近の事業年度の売上高は、合計で1兆1000億円に上る。
三菱重工が高効率の大型ガスタービンに注力する一方、日立は中小型機種を主力としていることや、地域的には、三菱重工が東南アジアや中東などで強みを持つ一方、日立は欧州やアフリカなどの市場で強みを持つなど、本統合により、相互の強みが活かされることとなる。また、火力発電プラント全体にわたりトータルソリューションを提供できることも両社の強みをとなる。これらに加え、両社の総合力と技術・製品事業面の相乗・補完効果を最大限引き出すことで、火力発電システム分野におけるグローバルトップのリーディングカンパニーを目指すという。
昨年の震災以降、日本国内に限らず、世界的に火力発電所の需要が高まっている。さらに新興国においても、経済成長に伴う電力需給のひっ迫から、火力発電所の新設や増設が相次いでいる。それと同時に、地球環境への意識も高まっており、エネルギーと環境という二つの地球規模の問題を同時に解決する必要に迫られている。これを事業の拡大へと繋げるための統合とのことだが、上記の強みのように、両社は棲み分けが出来ていたことや、出資比率を考慮すると、体の良い不平等合併といった様相である。今回の事業統合が、両社や新会社にとってメリットとなり、相乗効果を生んで、グローバル市場での競合を勝ち抜くものとなるのか、注目が集まるところであろう。