旧車本格レストアに動くメーカー各社、トヨタも旧スープラの修理・再生スタート

2019年06月02日 11:14

Toyota Heritage Pro

トヨタがレストアのためのパーツ再生産を決めた1986年に国内では2代目セリカXXを引き継いで登場したスープラ(A70型)、3リッターツインカムターボ「7M-GTEU」搭載車は「TOYOTA 3000GT」と呼ばれた

 トヨタ自動車が80年代から90年代にかけて販売していたスポーティモデル「スープラ/SUPRA」の修理・再生、いわゆるレストレーションを支援するための「ヘリテージ・パーツ・プロジェクト」をスタートさせる。

 2002年に生産を終了したA80型スープラ、その前世代の1986年登場のA70型が対象で、現在までに入手困難となった純正部品や消耗部品などの供給を行なう。この旧車を対象としたトヨタ初となる「ヘリテージ・パーツ・プロジェクト」は、BMWと共同開発することで復活した新型スープラの発表を機に明らかにされた。具体的なパーツの種類や品目については、現在、再生産部品の選定作業を進めており。確定次第順次公表していくという。

 再生産するパーツは、いわゆるカスタマイズに用いる部品ではなく、一般公道での走行やクルマのコンディション維持のために必要なものとし、自動車メーカーでなければ供給が難しい基本構造部品の再生産に重点をおく。

 トヨタが生産を打ち切っている純正パーツのなかには、社外メーカーが代替品を生産・供給しているものもあり、ユーザーがほんとうに入手困難で困っている部品を精査し、再生産するかどうかを決めるという。もちろん、A80型、A70型を生産していた当時、部品を供給していたサプライヤーにも協力を仰ぐ。

 旧スープラA80型、A70型のグローバル累計販売は、約29万台。FRスポーツとして、いまだに根強い人気があり、中古車市場でも活発に取引されている。もちろん、日常的に使われている現存モデルも多い。今回の「ヘリテージ・パーツ・プロジェクト」で、トヨタ製スポーツカーのブランドイメージの向上を狙う。

 同様の取り組みは、海外では独スポーツカーメーカーのポルシェが熱心だ。国内では昨年からマツダが、1989年にデビューした初代NA型ロードスターの「レストアサービス」をスタートさせている。同時に供給終了となっていた初代「ロードスター」のソフトトップや当時の純正タイヤなどのパーツを復刻、2018年初頭より販売を開始した。そのパーツリストは膨大で、エンジンルーム内に貼られるシールやラベルなどにも及んでいる。レストアサービスでは、車両そのものを広島に搬送して本社内の工場で、マツダE&Tが実施するという本格的なレストレーションだ。

 いずれの取り組みも、時代の先端を象徴する往年のスポーツカー愛好家を支援して、旧いクルマを大切に乗り継ぐ意識を広げる活動につなげる。こうした名車と言われる過去のスポーツカー愛好家を支援するメーカーの姿勢をアピールし、ブランド価値を高めるための施策といえる。(編集担当:吉田恒)