「終身雇用」の廃止、「不安を感じる」5割超。同じ会社で働き続けたい4割

2019年06月07日 06:19

画・「終身雇用」の廃止、「不安を感じる」5割超。同じ会社で働き続けたい4割。

エアトリが「終身雇用」に関する調査を実施。「終身雇用制度」が無くなることに50.6%不安。全ての世代で終身雇用への「賛成」が「反対」を上回る。自分で決める定年は60~70歳が50.8%。

 様々な理由から終身雇用制の廃止が議論されている。人生100年時代と言われ寿命が長くなっただけでなく、医療の発展、保健知識の普及で健康寿命年齢も上がっている。人生100年時代は少子高齢化の時代であり年金・医療をはじめとする社会保障制度のありかたも大きく変わらなければならない。この点からも終身雇用制は決して最適な雇用制度とは言えない。

 しかし、何といっても終身雇用制の廃止が検討されねばならない最大の理由はIT化、グローバル化の急速な進展であろう。IT化、グローバル化に適用するためには労働市場は流動化されねばならない。人財の専門性が急速に進んでいる。終身雇用制度では専門性を持った人財の最適配分は不可能と言って良い。

 旅行代理店のエアトリが20~70代の男女825名を対象に「終身雇用」に関する調査を5月に実施、その集計結果を3日に公表している。

 レポートによると、「終身雇用制度が無くなると不安か」という質問に対して「とても不安」が23.6%、「やや不安」が27.0%で、両者を合わせると50.6%と約半数が「不安」と感じているようだ。また、「不安でない」は29.8%、「どちらとも言えない」が19.6%で、圧倒的に「不安」を感じている者の方が多い。

 「終身雇用制度に賛成か反対か」という質問に対しては、世代別に見ると、20・30代で「賛成」31.9%、「反対」9.7%、40代で「賛成」36.7%、「反対」11.5%、50代では「賛成」44.4%、「反対」6.6%、60代以降では「賛成」41.1%、「反対」11.2%と全ての世代で「賛成」が「反対」の3倍以上多くなっている。世代ごとの傾向を見ると20・30代、40代では「賛成」が40%未満、50代、60代以降では40%以上と若い世代ほど「賛成」の割合は低くなる傾向が見られる。

 ちなみに「自由に定年を決めて良いとしたら何歳まで働きたいか」という質問に対しては、60歳代で半数超の50.8%となっている。

 「65歳以上の人が同じ会社で働くことに対してどう思うか」という問いに対しては、「一緒に働きたい」と答えた者の割合は、20・30代で32.4%、40代が39.1%、50代40.9%、60代以降が43.8%で約4割の者が「同じ会社で働きたい」と思っており、世代的傾向を見ると年齢が上がるほど「働きたい」の割合が増える傾向が見られる。未だ日本の勤労者は終身雇用制を強く支持しているようだ。(編集担当:久保田雄城)