主要都市の地価、97%の地区で上昇基調。再開発、訪日客関連等が背景

2019年06月19日 06:53

画・主要都市の地価、97%の地区で上昇基調。再開発、訪日客関連等が背景。

国交省が「令和元年第1四半期の地価LOOKレポート」の結果を公表。主要都市の地価は97%の地区で上昇基調。再開発事業、訪日客増による店舗、ホテル、マンション、オフィスの堅調な需要が背景。

 東京山手線で計画されている高輪ゲートウェイ駅という名称が山手線らしくないと話題になった。これにはJR品川車両基地の一画を転用し複合市街地に再開発する計画が背景にあるのだが、その規模は六本木ヒルズや東京ミッドタウンと同程度の国内最大級の再開発だ。

 東京では現在老朽オフィスビルなどの新陳代謝目的の再開発が活発で、これに東京オリンピック関連の再開発が加わり多数の大規模再開発が進行中だ。再開発ブームは東京に限ったことでは無く高度成長から50年、バブルから30年という時期で全国的に再開発計画が立ち上げられている。特に地方ではインバウンドの好調を背景にしたものも多い。

 7日、国土交通省が「令和元年第1四半期の地価LOOKレポート」の結果を公表。これは、全国主要都市の高度利用地等における19年1月1日から4月1日の地価動向を調査したもので、レポートによれば主要都市の地価は全体として緩やかな上昇基調が継続し、上昇地区数は対象100地区中97地区に及ぶ。このうち、0~3%程度の緩やかな上昇地区は68地区となっている。

 この地価上昇の背景としては、景気回復による雇用・所得環境の改善、さらに低金利環境の下で「空室率の低下による賃料の上昇など堅調なオフィス市況」、「再開発事業の進展による魅力的な空間・賑わいの創出」、「訪日外国人の増加による旺盛な店舗、ホテル需要」、「高利便性地域等での堅調なマンション需要」があげられるとレポートでは指摘している。こうした背景を持つため、オフィスや店舗、ホテル、マンション等に対する不動産投資が引き続き堅調に推移している模様だ。

 上昇幅が0~3%から3~6%へ変化した地区としては札幌市の宮の森(住宅地)、大阪府の天王寺(鉄道関連)の2地区が挙げられている。3~6%の比較的高い上昇を示したのは29地区で、上記の2地区の他に仙台市の錦町中央1丁目、千葉市の千葉駅前、東京都の歌舞伎町、渋谷、横浜市の横浜駅西口、名古屋市の太閤口、伏見、久屋大通駅周辺、金山、京都市の京都駅周辺、河原町、烏丸、大阪府の西梅田、茶屋町、中之島西、北浜、心斎橋、なんば、新大阪、福島、江坂、神戸市の三宮駅前、福岡市の博多駅周辺、熊本市の下通周辺、那覇市の沖縄県庁前だ。

 エリア別には東京圏が43地区、大阪圏が25地区、名古屋圏が9地区、地方圏が23地区となっている。これらの再開発が現在の景況を牽引しているのは確かだ。(編集担当:久保田雄城)