国交省が建設工事受注動態統計調査(平成30年度)を公表。受注総額は15兆8590億円で前年度比6.5%増加。民需は15%増加で8年連続の増加。公共は15%減。3月もサービス、卸売・小売、不動産で堅調。
2019年は消費税増税や五輪関係の工事の一巡で景気失速の懸念も指摘されてきた。しかし、このところ五輪を契機とした再開発ラッシュの様相を見せており、少なくとも建設関連は官公需から民需中心に牽引役がシフトし、東京都心湾岸エリアでは地価の高騰も持続している。商業関連も五輪が宣伝となって東京の国際都市化が本格化し、訪日客の持続的な増加など需要は増加傾向で推移するという見込みから設備投資を行う企業も増えている。
15日に国土交通省が建設大手50社を対象とした「建設工事受注動態統計調査」の3月分を公表した。これで平成30年度(2019年度)分の全てのデータがそろったことになり、同日に同調査30年度計も合わせて公表している。
報告書によると、国内の総受注額は3兆6326億円で対前年同月比66.0%増加の高い伸びとなり3カ月連続の増加である。民間工事は2兆9551億円で91.5%の増加、公共工事は6349億円、7.7%の増加で前月までの減少から増加に転じ、民間、公共ともに増加となった。発注者別では製造業10.7%増、非製造業111.1%増で、サービス、不動産、卸売,小売等で増加となっている。公共工事では国、地方ともに増加し、建築が増加、土木は減少となっている。
年度全体の動向を見ると、国内の受注総額は15兆2102億円で前年度比6.0%の増加となり3年連続の増加となった。 民間工事は11兆6269億円で14.5%の大幅な増加となり8年連続の増加だ。製造業は12.3%の増加で2年連続の増加、 非製造業は15.2%の増加で前年度の減少から再び増加へ転じている。発注者別ではサービス、製造、不動産等が増加、電気・ガス・熱供給・水道、 卸売、小売、金融、保険等が減少している。
公共機関は3兆1126億円で15.0%の減少と2年連続の減少。国が15.9%の減少で地方が13.0%の減少とともに大幅な減少となっている。工事種類別受注高を見ると、建築が11兆581億円で11.2%の増加となって8年連続の増加、一方、土木は4兆8009億円で3.0%の減少となり3年ぶりの減少となった。
長期の推移を見ると工事全体の7~8割を占める民間工事が11年から増加傾向で推移しており、特に昨年18年度は高い増加率を示している。五輪特需や復興関連工事の落ち着きが指摘される中、五輪後の国際都市化に向けたインフラ整備、再開発ラッシュ等によって牽引役が官公需から民需へとシフトしているようだ。(編集担当:久保田雄城)