凸版、LCA評価支援サービスにウォーターフットプリント活用

2011年12月15日 11:00

 凸版印刷は、パッケージ関連分野にてウォーターフットプリントを活用したLCA評価支援サービスを、2011年12月中旬より本格的に開始すると発表。同発表によれば、国内で初めての試みであるとのこと。

 LCA(Life Cycle Assessment)とは、製品の原材料の資源の採取から生産・使用・リサイクル・廃棄などライフサイクル全体にわたって、投入する資源や排出する環境負荷を定量的に評価する仕組み。中でも、地球温暖化の原因といわれているCO2が、商品の一生(原料から廃棄まで)で排出される量を可視化したカーボンフットプリントが注目されてきた。

 凸版印刷も2008年度から、生産などの活動が人間の健康や生物多様性などの領域に与える被害量を算出し、複数の環境影響を網羅的に把握する日本版被害算定型環境影響評価手法であるLIME手法を検証。2010年から実際に導入、CO2をはじめとする複数の環境指標を統合的に評価し、電子レンジ用発熱シート「サセプター」をはじめとする複数の製品で環境負荷の低減に努めていた。

 しかし環境負荷全体を考えた時、CO2を中心とした環境指標では不十分である。そこで、ライフサイクル全体を通して消費される水の量を算出し、水資源への負荷を定量化する指標となるウォーターフットプリント算定をサービスに組み込むことにより、より統合的・包括的なLCA評価支援サービスを可能にしたという。

 水資源が豊富な日本では、水が限りある資源であるという認識は持ちにくいであろう。しかし近年、水不足は国際的に深刻な問題であり、持続可能な水資源の利用はグローバルにサプライチェーンを持つ企業にとって重要な課題となっている。加えて、その水不足の要因と無関係な訳ではない。日本が輸入している農産物などの生産に必要な水は、第3回世界水フォーラム事務局よると年間約400億m3との試算が出ている。これは日本人の平均生活用水使用量で換算すると年間3億人分を上回る量になるという。水資源に恵まれたはずの日本が、見えない形で世界の水資源を大量に浪費していることになる。今回のような、水資源に直接関係を持たないように見える業界でのウォーターフットプリントの活用は、環境先進国でといわれながら、限りある資源を浪費している国という汚名を晴らす転換点となるかもしれない。

 なお、凸版印刷のウォーターフットプリントに関する取り組みについて、2011年12月15日から17日に開催される「エコプロダクツ2011」(会場:東京ビッグサイト)のトッパングループブースで展示している。