中国をはじめとする世界経済の減速を受けて国内経済の失速が懸念されてきた。夏頃までは内需好調を背景に内国経済の諸指標は一部に弱さが見られたものの順調に推移してきた。消費税増税が景気腰折れのトリガーとならないかとの声もあったが、駆け込み需要の動きも小さく影響は軽微とみられてきた。
しかし、10月に入り大型台風の到来やそれに伴う豪雨災害など天候不良に伴う消費低迷で状況は大きく変わったようだ。一部には景気後退入りを示唆する声も出てきているが、景気悪化を実感する企業も増加しつつあるようだ。
12日、帝国データバンクが全国2万3678社を対象に実施した2020年の景気見通しに対する企業意識調査の結果を発表している。
調査結果によれば、19年の景気動向について尋ねた結果、「回復」局面であると答えた企業の割合は3.7%となっており、2年連続で1桁台と少数派となった。一方、「悪化」局面と回答した企業は31.2%で、昨年の前回調査から14.0ポイント増加し、7年ぶりに3割台に上昇した。最も多かったのは「踊り場」局面と回答した企業で47.1%と半数近くにのぼった。多くが不透明感を感じる中で悪化を実感してきた企業が増えているようだ。
20年の景気見通しについて聞いた結果では、「回復」局面を見込むと回答した企業は6.8%で、やはり2年連続の1桁台で少数派だ。「悪化」局面を見込む企業は37.2%と4割近くとなり2年連続で増加し過去3番目に高い水準となった。一方で「踊り場」局面になると見込む企業は32.8%と前年の38.2%より減少しており、景気の先行きについて前年より厳しい見方を強めている企業が増加しているようだ。
20年の景気への懸念材料について複数回答で聞いた結果では、「人手不足」が46.2%で最も高く、次いで「中国経済」が34.8%、「原油・素材価格」24.9%、「米国経済」22.8%、「消費税制」22.1%という順になっている。景気悪化を見込みながらも人手不足のために機動的な動きが出来ない複雑な状況になっているようだ。
景気回復のために必要な政策について聞いた結果では、「人手不足の解消」が39.6%で最多となり、次いで「個人消費の拡大策」33.8%、「所得の増加」31.3%、「公共事業費の増額」26.7%、「個人向け減税」26.5%の順となっている。
この結果からは外需動向の懸念だけでなく内需の減速を感じる企業が増加してきているとも言える。(編集担当:久保田雄城)