安倍晋三総理は11日、都内で開かれた年末エコノミスト懇親会で「デフレマインドを払拭していただいて、今日この後から、もう一杯飲みに行こうという感じで、年末に向けてどんどん財布の紐をぐっと開いていただきたい」とあいさつ。消費税引き上げの影響からGDPの6割を占める「個人消費」が大きく落ち込んでいることや所得格差が拡大し続ける問題には触れなかった。
消費支出(2人以上の世帯)は10月、27万96721円と変動調整値で前年同月比、名目「4.8%減少」実質では「5.1%減少」していた。前月に比べると実質「11.5%減少」しており、消費の大きな落ち込みが明らかになった。一方、実収入は勤労者世帯の場合(2人以上の世帯)で1世帯当たり53万6075円となり、変動調整値で前年同月比、名目「0.2%減」、実質「0.5%減少」していた。
安倍総理のあいさつは景気の実態より「これから良くなる」とアピールする傾向が強い。この日のあいさつも「日米貿易協定、デジタル貿易協定、これを今国会で承認頂いた。1月1日からスタートする。TPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、日EU(欧州連合)のEPA(経済連携協定)、日米貿易協定、合わせれば5000兆円という大きな自由市場が誕生した。世界の活力を日本が取り込んでいく大きな枠組みができたのではないのか」と夢を与えた。
また「来年は何といってもオリンピック・パラリンピック。1964年、あのオリンピックにわくわくして、体に力を感じたあの時代のように、次なる成長に向かってワンチームで頑張っていきたいと思います」と景気も良くなるようなイメージづくりには成功したもよう。(編集担当:森高龍二)