日産、新たな電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」技術を搭載したモデルを公開

2020年01月10日 06:23

Nissan e-4ORCE

米ラスベガスで開催している「CES 2020」で新たな電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」技術を搭載したモデルを公開、市内でテストカーの走りも見せた

 日産自動車は、電気自動車(EV)の性能を押し上げる目的で、新たな電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」技術を1月7日から米ラスベガスで開催している「CES 2020」(国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で公開した。

 CES 2020会期中は、日産ブースで「e-4ORCE」を搭載したゼロ・エミッション クロスオーバーの「ニッサン アリア コンセプト」を展示するほか、同技術を搭載したテストカーをラスベガス市内で併せて公開、走行させた。

 「e-4ORCE」は、次世代の電気自動車(EV)に搭載する電動駆動 4輪制御技術の開発を目的としたテストカー。同テストカーは「日産リーフe+」をベースに2基の高出力電動モーターを前後アクスルに搭載することで4WD化し、日産独自のシャシー制御を組み合わせることで、新しい電動駆動の4輪制御を実現した試作車だ。日産は同テストカーを使用し、より高次元の走行性能を発揮する技術の開発を進めている。

 「e-4ORCE」は瞬時にトルクを4輪に伝え、多くのプレミアム・スポーツ・カーに匹敵する安定したパワーとハンドリングを実現している。

 e-4ORCEの「e」は、100%電気自動車の電動駆動に由来し、4ORCE(フォース)は、物理的なパワーとエネルギーに四輪駆動の「4」を掛け合わせた造語だ。

 日産リーフをベースとするテストカーの全長×全幅×全高は、4480×1830×1540mm、ホイールベース2700mm。前後アクスルにモーターを搭載し、統合出力は227kW、最大トルクは680Nm。前後左右のトルク配分は可変と思われるが、前215/55R17、後235/50R17タイヤを装着する前後異径レイアウトから、通常路面の走行でも後輪寄りのトルク配分と思われる。

 日産自動車で研究・先行技術開発を担当する専務執行役員の浅見孝雄は、「e-4ORCEは正確なハンドリングと安定性で、ドライバーにこれまで以上の安心感とワクワク感を提案します。この技術により、滑りやすい道でも思い通りのコーナリング性能と高いトラクション性能を実現するほか、乗る人すべてに快適な乗り心地を提供します」とその基本性能について語った。

 e-4ORCEは、日産GT-RのATTESA E-TS電子制御トルクスプリット四輪駆動システムおよび日産「パトロール」のインテリジェント4×4システムの開発実績を通じて生み出された。e-4ORCEは電気自動車のスムーズで安定した出力とブレーキ性能の実現を目的に開発された。

 その快適な乗り心地は、車体の振動を最小限に抑える電動パワーを活かした「e-4ORCE」だからこその快適性だフロントモーターに加え、リアモーターの回生ブレーキも併せて活用することで、渋滞時でも揺れが少なく、快適だという。同様に、凹凸のある路面や、加速時には、モーターを最適にコントロールすることで車体の姿勢変化を抑え、快適なドライビングを提供する。

 加えて、モーターの駆動力やブレーキをきめ細かくコントロールすることで、高いライントレース性能を実現し、ドライバーに安心感を与える。路面状況にかかわらず自信をもって運転できるため、滑りやすい道でもドライビングを楽しむことが出来る。(編集担当:吉田恒)