保釈中にレバノンに逃亡した日産元会長のカルロス・ゴーン被告人が記者会見で日本の司法制度について「公平な判決を得ることができない」などと批判したことを受け、森まさこ法務大臣は9日、ゴーン被告人が指摘した点について簡潔にコメントを発表。ゴーン被告人に「我が国の公正な刑事司法手続の中で主張を尽くし、公正な裁判所の判断を仰ぐことを強く望む」と求めた。
コメントで森大臣は(1)我が国の司法制度が「人質司法」であるとの批判について「個人の基本的人権を保障しつつ、事案の真相を明らかにするために適正な手続を定めて適正に運用されている。批判は当たらない」とした。
(2)有罪率が99%であり公平な判決を得ることができないとしたことには「的確な証拠によって有罪判決が得られる高度の見込みのある場合に初めて起訴する運用が定着している」ため、起訴事案の有罪率は高くなると説明している。
また「裁判官は中立公平な立場から判断するもの。高い有罪率であることを根拠に公平な判決を得ることができないとの批判は当たらない」とした。
(3)取調べが長時間で、弁護人の立会がないこと等取調べ全般に対する批判には「被疑者に黙秘権や立会人なしに弁護人と接見して助言を受ける権利が認められている」とし「取調べには適宜休憩をとるなど被疑者の人権に配慮した上、録音録画の実施を含め適正な取調べを行っている」とした。
このほか、保釈中に妻と会うことを禁止するのは人権侵害との批判については「逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがなければ特定の者との面会制限などはなされない」と強く反論した。そのうえで「ゴーン被告人の国外逃亡は何ら正当化されるものではない」としている。(編集担当:森高龍二)