新型コロナウイルス感染症の対策として自粛要請が続いている。既に経済への影響が実感される状況だ。感染発生地が中国であったため当初は製造業を中心にサプライチェーンの支障による影響が主なものであったが、イベント自粛要請、一斉休校などの実施を境に経済活動全般への萎縮ムードに変わってきているようだ。さらに欧米での感染も急拡大し先行きへの不安は増大している。
17日に帝国データバンクが「新型コロナウイルス感染症」上場企業の影響・対応動向の調査結果を公表している。このレポートは上場企業約3800社の3月15日までの動向をまとめたものだが、昨年12月~3月15日の間に工場や店舗などの休業、防疫措置など何らかの影響を受けた上場企業は749社と判明、上場企業全体の約2割にあたる19.7%となっている。
このうち具体的な影響も含め業績へのマイナス影響に言及した企業は計337社、客足・販売の減少などで既に業績への影響が出た、または今後出る見通しの企業は132社に上っている。
業種別に見ると、最多は製造業の251社で全体の33.5%と全体の3分の1を占めている。次いでサービス業の161社21.5%、卸売業81社10.8%、小売業65社8.7%の順だ。
製造業で生産調整や稼働停止など生産活動に影響が出た企業は87社で、1月末~2月中旬にかけては主に中国国内での操業停止といった動きが多かったものの、現在では部分稼働などで生産を再開させる企業も増えているようだ。
一方、小売業やサービス業などでは店舗などの営業休止、営業時間短縮など営業活動に影響が出た企業は84社、サービス提供・イベントなどの開催中止・延期をした企業は109社に上り、内需型企業にも影響が広がっている現状だ。
従業員の感染が判明した企業は47社となっており、感染予防対策としてテレワークやオフピーク出勤、特別休暇制度の取得推奨など働き方の変更を表明した企業は173社となっている。
以上のような経営活動が縮小している企業がある一方で衛生用品の増産や販売など需要拡大が判明した企業も27社存在する。
営業自粛などがもたらす企業活動の縮小は経営に悪材料となり経済全体へ悪影響を波及させることは間違いないが、一方で衛生用品など一部では需要拡大もみられ、業種や企業によって影響度はまだら模様となっているようだ。(編集担当:久保田雄城)