新型コロナウイルスの影響で全国各地域の景況感は急速に悪化している模様だ。2018年より世界経済の低迷の影響を受け製造業を中心に減速感はすでに出ていたが、中国での感染拡大に伴いサプライチェーンでの支障など影響は徐々に強まっていた。さらに国内での感染の広がりに伴い、外出自粛、イベントの中止・延期要請など新型肺炎対策の影響により生産のみでなく消費など経済全般での急速な縮小が起こり始めているようだ。
9日、内閣府が地域経済動向3月分を公表しているが、これまで概ね「回復基調」であった全国12地域の景況判断は全地域において「足もとでは、新型コロナウイルス感染症の影響により、景況感が急速に厳しい状況 になるなど、弱い動きがみられる」と新型コロナウイルス対策の影響による「急速な悪化」を認めている。
生産については、「東北、北関東、南関東、甲信越、東海、近畿、中国、四国、九州は弱含んでおり、新型コロナウイルス感染症の影響もみられる、北陸は一段と弱含んでおり新型コロナウイルス感染症の影響もみられる、北海道は新型コロナウイルス感染症による影響があり一段と弱含んでいる」と全地域について新型コロナウイルスの影響で悪化しているようだ。
これまでは内需主導の回復ということで堅調であった消費についても、「東北、北関東、甲信越、北陸、中国、四国は足もとでは、新型コロナウイルス感染症による影響があり弱めの動き、南関東、東海、近畿、九州は足もとでは新型コロナウイルス感染症による影響があり弱い動き、北海道、沖縄は足もとでは新型コロナウイルス感染症による影響があり弱含んでいる」とやはり12地域全てで弱い動き、悪化傾向だ。
景気ウォッチャー調査2月調査の現状判断DIも全国12地域で低下しており、中でも最も低下幅は大きかった九州の17.2ポイントなど北陸の9.2ポイント低下を除いて11地域で2桁の大きな低下となっている。
今後の見通しを示す先行き判断DIでも全12地域で低下となっており、最も低下幅が大きい北陸の23.1ポイント低下、最も低下幅が小さい沖縄11.9ポイント低下など全国的に20ポイント近い大幅な低下となっている。
昨年より世界経済の減速による国内生産の低迷、消費税増税、天候不良の影響による消費減速などで景気後退を指摘する声があったものの、内需好調を理由に政府は回復基調判断を維持してきたが新型肺炎の影響は内需をも急速に縮小させているようだ。(編集担当:久保田雄城)