メガネレンズモノマー事業を、2011年度中期経営計画において競争優位事業をグローバルに拡大する「世界トップ5事業」の一つとして位置づけている三井化学<4183>。この中期経営計画に基づき同社は、得意とする高屈折率分野でグローバルに拡販するとともに、2011年には低屈折率分野で全世界に販売ネットワークを持つスイスのAcomonを買収するなど、M&Aを含めた積極展開を進めている。
こうした中、同社が、プラスチックメガネレンズモノマーの製造・販売を行っている韓国のKOC Solution社(KOC)につき、発行済株式の51%を取得して子会社化すると発表した。KOCは、中~高屈折率のプラスチックメガネレンズモノマーの製造を行い、主に中国市場に販売。そのため今回の子会社化により、製品ラインナップを拡充と、KOCが中国のメガネレンズ関連企業集積地に保有する製造・販売拠点の活用により、拡大する中国市場での三井化学グループ製品の拡販強化を図るとのこと。
福井県香港事務所が発表した香港貿易発展局のデータによると、中国の眼鏡産業は年々拡大しており、現在は3億人強が眼鏡を着用。2003年には145億元であった市場規模は、400億元にも達すると予測されている。確かにこの市場規模は魅力であろう。しかし、日中関係の悪化や同国の成長率鈍化などによりチャイナリスクは従来よりも格段に高まっており、今後の動向が読めないため直接進出するにはリスクが高すぎると言えるであろう。今回の子会社化は、韓国企業を間に挟みワンクッション置くことで、少しでもリスクを軽減しようという意図が窺える。一つ、大きな懸念材料を挙げるとすれば、間に挟んだクッションが、これも日本との関係が良好とは言えない韓国である点であろう。今回の試みはこうした懸念を払拭し、功を奏することが出来るのであろうか。同業界のみならず、多方面から注目が集まるところであろう。(編集担当:井畑学)