三井化学などが下水汚泥からバイオ水素ガスを製造する実証試験に着手

2012年09月11日 11:00

 ジャパンブルーエナジー(JBEC)、大和リース、豊田通商及び三井化学の4社が、HIT(Hydrogen Innovation Town)事業研究会を発足させ、下水汚泥から水素ガスを製造する実証試験に着手したと発表。大和ハウス工業及びトヨタ自動車もオブザーバーとして参加する。

 HIT事業研究会は、JBECが所有するバイオマスガス化技術「BLUEタワー技術」を利用することにより、現在一般的である化石燃料からの水素製造ではなく、その多くが焼却処分されている下水汚泥からの水素製造を目指して発足。各地の下水処理場にBLUEタワー技術を導入することで、将来普及が見込まれる燃料電池自動車(FCV)や定置型燃料電池等へ水素を供給し、地産地消型の水素イノベーションタウンの実現(低炭素・循環型の街づくり)に貢献するものとなる。

 実証実験の核となるBLUEタワー技術の特長は、熱媒体としてアルミナボールを使用することにあるという。熱分解器において、木質チップや下水汚泥等のバイオマス原料が、高温に加熱された多量のアルミナボールに接触することでメタン等のバイオガスが発生。さらに改質器において、バイオマスガスがより高温のアルミナボールと水蒸気に接触し、水蒸気改質反応等を経て、バイオ水素が製造されるとのこと。これまでの試験では、バイオ水素の原料としての「下水汚泥」の持つポテンシャルを確認。今後、実証プラントでの連続運転試験により、バイオ水素の製造技術を確立するとともに、商用規模のバイオ水素製造プラント、モデル事業の構築を目指すという。