外国人労働者の精神保健。職場よりプライベートの悩みの支援を

2020年06月11日 06:12

画・外国人労働者の精神保健。職場よりプライベートの悩みの支援を。

ピースマインドが「日本ではたらく外国人社員のメンタルヘルスサービス利用調査」を実施

 直近4月の有効求人倍率は1.32倍で新型コロナウイルス対策の影響で急激に低下したとは言え未だ1倍を超えており、長期的に見れば労働力不足が深刻化して行くことには変わりがない。

 この労働力不足を外国人労働者で補うことは既に政府によって明確化されているものであり、厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」によれば2020年1月時点における日本で就労している外国人労働者の数は前年比13.6%増の165万8804人で過去最高を更新し増加し続けている。それ故にこれら外国人労働者の福祉を如何に実現していくかということは政府にとっても社会にとっても重要な課題であることは間違いない。

 精神保健コンサルタントのピースマインドが18年4月から19年3月までの外国人からの相談内容4224件を分析し「日本ではたらく外国人社員のメンタルヘルスサービス利用調査」としてとりまとめ、5日に集計結果を公表した。

 レポートによれば、外国人社員による相談内容はプライベートに関する事が69%と、日本人社員の44%に比べ、外国人社員では「職場」に関する相談よりも「プライベート」に関することで相談に至る割合が高くなっている。

 外国人社員で相談が多かった「プライベート」の内容を分析した結果では、「プライベートの対人関係」が47%と最も多く、次いで「健康」が32%、「生活」21%となっている。この相談内容の割合自体は日本人社員と大差はない。

 さらに、テキストマイニングの手法を用いて「プライベート」の相談内容を分析した結果では「配偶者との関係」や「異文化の日本における生活に付随する困難・悩み」がプライベートの悩みに影響しているようだ。

 相談内容の詳細をみると、「生活」では法律に関る問題、金銭問題、介護問題、子どもの教育問題など、「健康」では自身もしくは家族・パートナーの身体的健康・メンタルヘルス、「プライベートの対人関係」では家族・パートナー関係、その他の対人関係、ストーキング、脅迫、暴力行為などとなっている。

 外国人社員は職場や仕事の悩みのみでなくプライベートに関することによって日本での就労ストレスが増加させられているようだ。とは言うものの企業が「プライベート」へ直接支援していくことは難しいであろう。個別の企業のみでなく日本社会全体による適切な対応・支援が必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)