財務省が1日示した国家公務員宿舎の削減方針は具体化までに、今後、閣議決定に加え、国家公務員宿舎法の法改正に着手しなければならない可能性もあり、法改正の場合には関係省庁の調整、人事院との調整など大幅に時間がかかることが予想される。財務省関係者は「国民の意向もわかっていますから、急がなければならないと思っています」としながらも「今は財務省としての方針を示したに過ぎない」としており、実効への第1歩として閣議決定が急がれる。
財務省が示した国家公務員宿舎の削減方針では今後5年を目途に21万8000戸の宿舎を5万6000戸、率にして25.5%削減するというもの。現時点で2393住宅を廃止、新規に建設が予定されていた朝霞住宅(850戸)を含む大川、府中朝日町、府中浅間町、東大和などでの建設予定総数3000戸余りの建設を中止する。
また、宿舎使用料(駐車場使用料を含む)は「宿舎建設、維持管理費などにかかる歳出に概ね見合う歳入を得る水準まで引き上げを行う」との方針を示した。建設に1000億円を要した場合、40年から50年の耐用年数として、1000億円と改修・維持管理費用などを合わせて歳出に見合う歳入を得るための宿舎使用料を算定するとしている。ただし「関係者の理解を得られるよう努めたうえで」としており、ここでも調整に時間がかかることは必至だ。
財務省では宿舎廃止、跡地の売却、復興費用などに充てられる額、既存宿舎の耐震改修、現地建て替えについて年に1回公表していくとしており、どこまで具体的に実行されるか、注視していくことが必要だ。(編集担当:福角忠夫)