金委員長と直接向き合い拉致、国交正常化目指す

2022年05月31日 06:53

 岸田文雄総理は29日開かれた「全国拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」で「私は条件を付けずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接向き合う決意。日朝平壌(ピョンヤン)宣言に基づき、日朝間の諸懸案を解決し、不幸な過去を清算し、北朝鮮との国交正常化を目指す。あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動していく」とあいさつした。

 岸田総理は冒頭に「昨年12月に家族会前代表の飯塚繁雄さんが亡くなられてから5か月余り、来週6月5日には横田滋さんが亡くなられてから2年を迎える。拉致被害者や御家族の皆様が高齢化する中、拉致問題の解決には一刻の猶予もない」と早期の解決が求められていると強調。

 岸田総理は「2002年に5名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、新たな拉致被害者の帰国を果たすことなく、本年9月には20年の歳月が経過してしまうこととなり、いまだに多くの被害者の方々が北朝鮮に取り残されていることは本当に申し訳ない」と陳謝した。

 そのうえで「拉致問題は、岸田内閣の最重要課題です。拉致問題の解決のためには、国際社会の理解と協力を得ることが不可欠。国際社会への働き掛けと同時に、我が国が主体的に動き、トップ同士の関係を構築することが極めて重要」。

 「総理大臣として自らが先頭に立ち、政府を挙げて全力で取り組んでいく。このことを今一度しっかりとお誓い申し上げる」と取り組みへ強い姿勢を示した。政府は拉致に関する情報収集や分析、調査に必要な費用として年間13億円(2020年度、21年度実績)をあてている。(編集担当:森高龍二)