VWグループのバッテリー事業会社「Power Co」が独ザルツギッターに建設するセル工場のイメージパース
フォルクスワーゲン（VW）グループは、新しいバッテリー会社「Power Co」を立ち上げ、独ザルツギッターで「グループ初となるセル工場の建設を開始した」と発表した。
独ザルツギッター発：VWはクルマの電動化戦略を継続していることをアピール。グループは独ザルツギッターに建設する最初のセル工場の定礎式を行なった。生産は2025年に開始する予定だ。これを機にVWグループの世界的なバッテリー事業は、新会社の「Power Co」が担うという。セル生産に加えて、この新しい会社は、バッテリー・バリューチェーン全体に沿った活動を行なう。
そのため「Power Co」は、パートナーと共に2030年までにグループの世界的なバッテリー事業に200億ユーロ（2兆8500億円）以上を投資、売上見込額は200億ユーロ、ヨーロッパでの2万人の雇用を計画している。
今回のザルツギッター・セル工場は、VWの世界的なバッテリー戦略の青写真および出発点であり、今後ヨーロッパに6箇所にセル工場を建設し、将来的には北米にも工場を建設する予定だ。
ザルツギッターを拠点とする「Power Co」は、国際的な工場の操業管理、セル技術のさらなる開発、バリューチェーンの垂直統合、工場の生産設備整備を一元管理する役目を負う。今後、電力網向けの大規模な蓄電システムなど、さらなる製品の開発を計画しているという。ザルツギッターに続く次のセル工場は、スペインのバレンシアに建設される予定。現在、ヨーロッパにさらに3つのセル工場を建設するための候補地を検討しています。ヨーロッパに加え、「Power Co」は現在、欧州に加えて北米にもギガファクトリー建設を模索している。
定礎式に合わせて、VWグループは初めて工場の標準化コンセプトを発表した。ザルツギッターはヨーロッパにおけるセル工場の青写真となり、持続可能性と革新技術の観点から新たな基準を設定する。
Power Coは欧州規格に基づいてセルを標準化し、その規模を拡大していくとして、生産速度とコストの最適化を、最高の品質レベルと組み合わせるという。
標準化は、装置、建物、インフラだけでなく、製品、プロセス、ITも対象となる。よって新しい製品や革新的な生産工程にも反映され、工場を迅速に転換することができるという。各工場は、再生可能エネルギーで100％稼働し、将来のクローズドループ・リサイクルに対応できるように設計する。
ザルツギッター工場では、量産セグメント向けのユニファイドセルを、2025年以降に生産する予定だ。将来的には、この工場の年間生産量は約50万台の電気自動車に搭載できる40GWhとなる予定だ。2030年までに、VWグループはパートナーと協力して、ヨーロッパに建設する6箇所の工場で、合計240GWhのセルを生産する計画だ。（編集担当：吉田恒）
