拡大するSNS広告市場、アナウンスの不十分さがネック

2012年11月26日 11:00

 富士キメラ総研の調によると、2011年度末時点で登録数が1億件を突破、2012年度末時点の登録数は、日本の総人口に匹敵する規模の1億2750万件が見込まれているソーシャルネットワークサービス(SNS)。今後、登録数の伸びは徐々に鈍化していくと見られているものの、2016年度末時点には1億6000万件に達すると予測されている。また課金・広告売上額は、2011年度に前年度比75.1%増の2950億円であったものが、2016年度には、2011年比66.9%増の4925億円にまで拡大すると予想されるなど、数少ない成長市場となっている。

 今話題となっているこのSNSを、自らもビジネスに利用しようという人は多い。しかし、「SNSは儲かるらしい」「利用は無料」などという情報ばかりが先行しており、思ったような結果を得られている人は少ないようである。今年7月には東京商工会議所が「SNSビジネス活用基本ガイド」なるものを発行、書店には関連の本が数多く面陳され、インターネット上に流れる情報商材と呼ばれるサービスにもSNSを利用したビジネスに関するものが溢れていることからも、その関心の高さだけでなく、簡単には上手くいかない現状が現れているであろう。

 一方で、こうした状況を裏付けるように、SNS関連のマーケティングや広告などを手がける企業は業績が好調なようである。たとえば、今年4月に日本企業としてはじめて、フェイスブックの「認定マーケティングデベロッパープログラム」のパートナーに認定され、サントリーホールディングスの「幹事力検定」においてフェイスブックページの構築・運用・アプリ開発などや、JCBのソーシャルコミュニティ構築などを手がけたメンバーズは、平成25年3月期第2四半期において、売上高が前年同期比7.3%増となっていおり、順調に実績を積み上げている。SNSの利用で一定の効果を出そうと思えば、それなりの経験や経費が必要で、こうしたことへのニーズが高まっているということであろう。

 「広告費0円で経費を節約できる」などと美辞が並ぶSNSのビジネス利用であるが、SNS広告は従来の広告とは異なり、常にメンテナンスが必要なものである。常にファンを楽しませ続ける必要があると同時に、書き込みの頻度が高すぎては煩わしく感じられ、低すぎてもファンが離れるなど、一朝一夕に効果を出せるものではない。前述東京商工会議所による基本ガイドでは、こうした点には一切触れられておらず、個人情報等には注意を払うようにといった基本以前の注意点しか記載されていない。こうした中途半端さが、安易に手を出しては不満を募らせる利用者を増加させているように感じられる。市場の拡大は確実視されているが、この拡大を享受することは簡単ではないということのアナウンスがもっとなされれば、予測よりも大きな市場の拡大となるのではないだろうか。