5月の訪日外国人観光客数が300万人突破! 今求められる、地域の魅力

2024年07月14日 09:41

画・訪日客、1~10月で約2400万人、既に昨年の年間合計を超える勢い

 新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行されてから一年余りが経ち、日本はコロナ禍以前よりもインバウンドブームに沸いている

 新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行されてから一年余りが経ち、日本はコロナ禍以前よりもインバウンドブームに沸いている。

 日本政府観光局(JNTO)が6月19日に発表した2024年5月の訪日外国人旅行者数(推計値)は約304万人で、前年同月比で60.1%増、同月過去最高であった2019年5月の約277万人をも20万人以上 超え、3か月連続で300万人を突破している。

 では、訪日外国人たちは日本の何に興味を持ち、どこに向かい、どんな体験を望んでいるのだろうか。観光庁が実施した「訪日外国人消費動向調査:都道府県別出入国空港状況」によると、訪日外国人に人気の地域は「東京都」「千葉県」「大阪府」「京都府」「北海道」「沖縄県」が上位となっている。千葉や大阪は有名テーマパーク、北海道や沖縄はスキーやダイビングなどのスポーツアクティビティのけん引力が強く、初めて日本を訪れる人たちの大きな目的の一つとなっているようだ。

 また、インバウンドは思わぬ業界にも恩恵をもたらしている。その一つがお菓子業界だ。

 訪日外国人の増加に伴って、外国人でも手軽に購入できる日本らしさを感じられるお土産として、日本のお菓子は今や定番となっている。とくに抹茶味の人気は高く、KSP-POSが公開している月次のPOSデータによると、スーパーなどでも購入しやすいネスレ日本の「キットカット」の抹茶味は2023年度比で6%もシェアを増やしている。また、以前から人気の高い江崎グリコのポッキーも、とくに地域限定で個包装された「地元ポッキー」が好調で、同データで売上金額が前年比189%と大きな伸びを見せている。

 地元色や地域色の強いお土産は、とくにリピーターの訪日外国人に人気が高いようだ。リピーターは定番の日本では飽き足らず、地方に強い関心を持ち始めている傾向がみられる。各地方がインバウンドの誘致に尽力している効果もあるが、訪日外国人自身が、日本を訪れる回数が増えれば増えるほど、日本のディープな地域の魅力を求めているのだ。

 例えば、神戸市灘区・同市東灘区・西宮市の沿岸部にまたがる日本一の酒どころ「灘五郷」 も人気スポットの一つ。日本国内では若者を中心に日本酒ばなれが進んでいると言われているが、海外の市場では2022年度までは日本酒の売り上げは右肩上がりだった。そして、そんな日本酒の老舗酒蔵が立ち並ぶ灘五郷には、伝統の日本酒づくりを体感できる見学施設が多い。その代表格でもある白鶴酒造資料館にも、海外から多くの観光客が訪れているようだ。また、同資料館では2024年5月16日から、地元神戸のエッセイ漫画家・イラストレーターの都あきこ氏が制作する、神戸の名所と人をデザインした神戸ご当地ブランド「コベピポ」とのコラボグッズを販売中。同社社員の意見もとりいれた神戸の酒蔵らしさが感じられるオリジナルグッズは、酒袋やノート、マグネット、キーホルダーなど全8種類で、白鶴酒造資料館などの直営店で発売しており、訪日外国人観光客にも好評だという。

 大型の観光施設や観光都市、テーマパークなどももちろん魅力的ではあるけれど、日本にはまだまだ、食や文化、伝統など、地域ならではの魅力が溢れている。地域限定のお菓子やグッズは、それをPRする良いきっかけになっているようだ。(編集担当:藤原伊織)