東京電力福島第一原発事故から13年。今も影響がいたるところに生じているが、今夏、福島県浅川町の牛の肉から国の基準値を超える放射性セシウムが検出されたことが分かった。
福島県畜産課は石川町で米作りをしていた農家が原発事故直後に稲を刈り、牛の飼料用にロール状にし乾燥させ、倉庫に保管していたものを、浅川町の畜産農家が譲り受け、今年7月下旬に食べさせたためと説明した。この稲藁は倉庫保管だったため「カビが生じたり、湿気るなどがなかった」という。
県の調べで飼料になった稲藁から1キロ当たり1万ベクレルの放射性セシウムが検出され、藁を食した牛の肉1キログラムから(国の基準値100ベクレルを超える)120ベクレルの放射性セシウムが確認された。
県は県内すべての牛を対象に出荷前の検査を行い、安全性を確保する。ただ今回の事案も踏まえると、県内では「除染」が続いているものの、野山は除染から外れている。汚染から13年経って、そこに生息してきたヤマトシジミなど小さな昆虫、小鳥やシカ、イノシシなど野生動物の生態に変化は生じていないのか。それぞれの「世代時間」や「適応進化」「奇形発症」など継続的な調査を国の責任の下、大学など研究機関へ委託し長期にわたって取組むことが必要だろう。結果は1年ごとに公表し、国民に知らせるべきだ。(編集担当:森高龍二)