マレーシア訪問に合わせて国営ベルナマ通信社への寄稿文で石破茂総理は「共に貿易立国かつ海洋国家であり、基本的な原則や価値を共有する」とし「対立と分断が進み不透明性が増す国際情勢の中で法の支配を重視する日本とマレーシアが自由で開かれたインド太平洋実現に向け協力していくことは両国及び地域の平和と繁栄にとって非常に重要。私とアンワル首相との首脳会談では、こうした認識の下で『包括的・戦略的パートナー』としての協力関係をアップデート・重層化していく考えです」と冒頭に記述した。
また「4月に開幕する大阪・関西万博ではマレーシアには『調和で未来を紡ぐ』をテーマにパビリオンを出展いただきます。多くのマレーシアの皆様に来日いただき、未来を体験できる万博を観覧したり、ビジネス・マッチングを進めていただくことを期待しています」と訪日を呼びかけた。
石破総理は(1)経済成長著しい東南アジアにおいて、脱炭素化・エネルギー移行は大きな課題であり、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指すマレーシアとともに、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想を通じた脱炭素・経済成長・エネルギー安全保障の同時実現を図っていく。
(2)日本の優れた脱炭素技術を導入し、炭素クレジットの創出を通じて両国の排出削減に貢献する二国間クレジット制度(JCM)の協議を加速し、早期署名を目指したい。
(3)太平洋とインド洋の二つの海の結節点に位置するマレーシアと海洋安保・海上保安分野で協力を強化することは自由で開かれたインド太平洋の実現に資する。かかる観点から、我が国はOSA(政府安全保障能力強化支援)、ODA(政府開発援助)及び自衛隊や海上保安庁による協力を通じてマレーシアとの連携を強化しており、継続していく、などの考えを明記した。(編集担当:森高龍二)