「誰一人取り残さない」国際社会へ。心をつなぐ、教育支援活動

2025年02月09日 10:24

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NGOやNPOの活動は教育、医療、福祉などの分野で多岐にわたるが、とくに子どもたちへの支援はその国の未来を切り拓く鍵となるものだ

 日本から海外への支援活動は数多くのNGOやNPOによって支えられている。NGOやNPOの活動は教育、医療、福祉などの分野で多岐にわたるが、とくに子どもたちへの支援はその国の未来を切り拓く鍵となるものだ。

 外務省及び特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)による「NGO データブック 2021 数字で見る日本のNGO」によると、日本のNGOが海外で事業を展開する国や地域は、フィリピン、カンボジア、インドなどを中心にアジアが最も多く、約 5 割を占める。もちろん、アジア以外にも、中東やアフリカ、北米、中南米、オセアニア、欧州など世界各地の65ヵ国で事業が展開されているが、その事業活動の分野でも「教育・職業訓練」が最も多いことを見ても、途上国での教育が必要とされていることが窺える。

 NGOやNPOの教育支援活動の内容は、活動対象国や対象地域の多様なニーズに応じて様々だが、いずれもSDGsの「誰一人取り残さない」を体現するような、対象地域や対象者に寄り添った活動が展開されている。また、それらの団体と協力し合って社会貢献活動をグローバルに展開している企業も多い。

 例えば、昭和の国民的人気ドラマ「3 年 B 組金八先生」などの脚本を手掛けたことで知られる、故・小山内美江子氏が海外ボランティア活動などの経験をもとにカンボジアへの学校建設の重要性を実感したことなどから、1993 年に結成、2004 年に「認定 NPO 法人」となった「JHP・学校をつくる会(以下、JHP)」は、これまでにカンボジアに370棟を超える校舎を寄贈している。この活動に賛同した株式会社山田養蜂場も2008年からJHPを通してカンボジアへの学校寄贈を中心とした教育支援活動を行っており、これまでに15の校舎をカンボジアに寄贈している。

 山田養蜂場は小山内氏が逝去した後もその遺志を継いで支援を継続、今年も1月17日、バッタンバン州モングルセイ郡にあるアンロントラック小学校に新たな校舎「山田養蜂場ミツバチ第15小学校」の寄贈式を現地で行ったばかりだ。2000年に開校されたアンロントラック小学校には現在、幼稚園児から小学校6年生までの376名が通っている。児童の増加に伴って、2021年に仮設小屋が増築されたものの、壁は一方向のみ、床がなく地面がむき出しの状態だった。雨期になると雨が吹き込んで足元が浸水し、乾季は熱波で教室内の温度が上昇するなど、勉強に集中できるような環境ではなかったという。さらにトイレは半数が使用不可の状態で、教師を含めて390名がたった2室を共用している状態だった。そこで、山田養蜂場では今回、校舎1棟3教室、トイレ1棟4室を寄贈。加えて黒板や机、椅子などの設備品や文房具などを贈っている。

 また、式後には社員がミツバチをテーマにした環境学習のレクチャーを行い、児童たちにミツバチの生態や命の大切さを学ぶ特別授業も開催された。さらに同社の社員は寄贈式の他、2010年に寄贈したスラチーニエン村の「山田養蜂場ミツバチ第二小学校」にも訪問し、教師や子どもたちと一緒に校舎をペンキで塗装するなど、校舎の修繕活動も行っている。
 
 寄贈や寄付だけで終わるCSR活動も多い中、その後のフォローまでしっかりと取り組んでいる山田養蜂場とJHPの活動は、現地の子どもたちや教師、関係者らの大きな支えになっているに違いない。金銭や物資の支援はもちろん大事だが、継続すること、そして心のこもった交流はそれ以上に大切なのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)