政府は23日の臨時閣議で衆院議員選挙を27日公示、2月8日投開票と決定した。
高市早苗総理がいう「国論を二分するような変更、法案提出を通常国会で予定しているため、通常国会での審議の前に、総理としての国民の信任を得たい」という理由による突然の選挙となった。
しかし、国論を二分する重大政策、重大法案の内容について、高市総理は具体的な内容を国民に示していない。財政・経済政策の転換、安保3文書の見直し・非核3原則のありようを含む安全保障の在り方、スパイ防止法の制定や情報機関の強化、加えて高市総理が目指す「国旗棄損罪」の制定などだと思われる。
日本が国是として平和憲法の下で歴代政府が堅持してきた「非核3原則(核をつくらず、持たず、持ち込ませず)」。官邸幹部から「核を持つべき」との発言が出たにも関わらず、高市総理は更迭していない。「核の議論もされないのは周辺国を見渡して健全とはいえないのではないか」との意見もある。この議論が提起されれば日本の戦後の歴史をみても「国論を2分する賛否紛糾」の争点になるだろう。
今回の急転直下の解散劇には旧統一教会と自民党との癒着ぶりが再浮上したことや高市総理が抜擢した官房副長官・佐藤啓氏にも旧統一教会から2022年参院議員選挙で選挙応援集会が用意され、佐藤氏の妻が参加していたこと、「TM特別報告」に2021年の衆院議員選挙に旧統一教会が「自民党(候補)だけで290人応援した」と記され、100人以上がかかわりを持っていたのか、持っていなかったのか、党調査に報告せずにいること。裏金議員や裏金問題で前回選挙に落選した元議員らが37人公認、重複立候補するとみられることなどから、国会審議回避のためとの見方もある。
日本維新の会の議員には「国保料逃れ」の疑惑も生じた。解消されていない。維新が党内調査した結果、国会議員や地方議員ら806人のうち805人が回答し、364人(全体の45.3%)が社会保険に加入していることが分かった。
一般社団法人の理事に就くことで社会保険に加入し、低額報酬で保険料を抑え、議員報酬よりはるかに低額な役員報酬を基準とした社会保険料で済ませることで年間80万円~100万円近く、保険料を免れていた疑惑がある。この『脱法行為』をしたとして維新が除名処分したのは今月15日の記者会見では「6人」だった。
中道改革連合の安住淳共同幹事長は記者会見で旧統一教会問題や総理自身の脱法的献金をめぐる問題などについてトップバッターで質問する予定だったとし「追及逃れの解散なんて、一国の総理がやることでない。選挙が終わったら、どういう勢力になっても自民党と旧統一教会の関係は徹底的に追及する」と明言した。
一方、立憲民主党と公明党が立ち上げた中道改革連合(略称・中道)にも安全保障、特に「辺野古基地」を巡る姿勢が曖昧過ぎると言わざるを得ない。昨年6月、立憲民主党が発行した政策パンフレットでは「沖縄県民の民意を尊重し、辺野古新基地建設を中止し、基地の在り方を見直すための交渉を開始する」と公約にしてきた。
それが中道の立場になったとたん「中道が政権を担うとなれば(辺野古新基地建設)をストップすることは現実的ではない」(安住淳共同幹事長)などとする考えが示された。後に安住氏は「中道としての整理はまだできていない」と修正したが、いつまでに整理するのか。
公明党は基地建設を進めてきた立場。斎藤鉄夫中道共同代表は公明党代表の立場としながらも、辺野古新基地は「必要」との考えを示し「普天間基地の危険除去が一番の目的。地元の理解を得る努力を続けていく」と建設推進派だ。
中道として辺野古新基地建設にどのような姿勢をとっていくのか。小泉進次郎防衛大臣は23日の記者会見で「これ(辺野古新基地建設)についても統一した見解を持てない(中道改革連合)。こういったところが仮に、過半数を取り、新たな政権を樹立し、政権の舵取りを担うというのは、私からすれば、混迷の入口に立つことになるというふうに思う」と懸念とも、皮肉とも受け取れる発言を行った。こうした批判が生まれるのは当然で辺野古をどうするのか、党の姿勢を早くに、国民に示す責任が中道にはある。
また原発政策でも立憲結党時から現在までに政治的妥協によるものではないか、と思われる変化がある。東京電力福島第一原発の甚大な事故を受け、立憲は2019年時点でも「原発ゼロを実現します」と公約に掲げ「原発ゼロ基本法成立後、5年以内に全原発の廃炉を決定します」としていた。
ところが、その後「原発には依存しない社会」へとトーンが下がり、中道では「将来的に原発へ依存しない社会を目指す」と原発ゼロから大きく後退、実現を遠ざけたとしか見えない。原発ゼロを早く実現したいとの思いが伝わった立憲誕生当初から、先の見えないところにまで距離を遠ざけた感しかない状況だ。
連合組織に依存してきた体質から芳野友子連合会長から国民民主党との融合を求められてきた立憲が国民民主を支える電力労組に配慮し、一歩譲った結果による産物が「原発に依存しない社会」に後退し、今回、公明党との「中道」結党で結果的に公明党が先の選挙でもあげた「原発に依存しない社会」を確定的なものにしたようだ。
立憲は安保法制に「違憲」部分があり、政権を取った暁には違憲部分を廃止すると訴えてきた経緯がある。その際、見解を共有する社会民主党や日本共産党とも地域によっては選挙協力を行っていたが、今回、中道の基本政策で「安保法制は合憲」との立場に立った。
日本共産党は「違憲部分の廃止を投げ捨てた」と批難。「安保法制の廃止は市民と野党の共闘の1丁目1番地だった。それを投げ捨てた」と中道が基本政策で「安保法制が定める存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使は合憲」と規定したことに怒りを隠さない。
「安保法制は集団的自衛権の行使を可能にしたものであり、存立危機事態とは日本ではなく、他国への武力攻撃が発生した事態のこと。米軍とともに自衛隊が武力行使することだ」と米国の戦争に日本が巻き込まれるリスクに警鐘を鳴らして批難した。
小池晃共産党書記局長は今回の変化に「市民と野党の共闘の土台を壊した」とし「中道と選挙協力は行わない」と明言した。「共産党は小選挙区に候補を立てないところは自主投票にする」と話した。
自民にも、維新にも、中道にも、それぞれ頭の痛い問題や課題が見える。こうしたことも踏まえ、さらに各党の選挙公約を読み込んで投票先を決めてゆくことをお勧めしたい。
「消費税」の扱いも選択肢になりそうだ。自民と維新は食料品については「2年間0%、ただし国民会議で検討する」とし、実施時期は示していない。中道は「今秋から食料品を恒久にゼロ」と時期を明記した。財源は政府系ファンドを立ち上げて対応するというが、果たしてそんなことが可能なのだろうか。
国民民主党は「一時的に一律5%」にする。れいわ新選組は「速やかに廃止」。日本共産党は「一律5%、その後に廃止」。参政党は「廃止」。保守党と社民党は「食料品を恒久的に0%」。チームみらいは「消費税減税より、社会保険料軽減」。それぞれ財源を含め、党の考えや取組みが似ているようで異なる。有権者は各党の政策を見て選択することが大事。
物価高騰で前回選挙より100億円増え、850億円ともいわれる巨費を投じて行う衆院選挙になるという。
自民党・日本維新の会の現政権で良いのか、公明党・立憲民主党が立ち上げた「中道改革連合」(略称・中道)に政権を移すのか、今回の選挙は多党化の中、2大勢力が「外交・安全保障・社会保障・教育はじめ暮らしの在り方、日本の今後の歩みに大きく影響する『政権選択』になる」と思われ、選挙権を有しない次世代のことも意識しての投票行動が求められているといえよう。(編集担当:森高龍二)













