日経平均が上がっても食卓が冷え込む構造。資産格差が拡大し続ける理由

2026年03月05日 17:02

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株高の恩恵は誰のものか?「資産効果」の光と影。物価高に晒される無資産層のリアルな叫び

【今回のニュースのポイント】

・資産効果の不均衡:株高が消費を促す理論は、あくまで株式保有者に限定。資産を持たない層には、株高に伴う円安や物価高という「副作用」だけが届きます。

・格差を固定する構造:新NISA等で投資に回せる余力がある層と、日々の生活で精一杯の層の間で、埋めがたい「富の再生産スピード」の差が生じています。

・「直接効果」と「間接コスト」:企業利益の増大が株主を潤す一方で、消費者としての国民は「価格転嫁」という形でそのコストを支払わされている矛盾。

 「日経平均株価、前日比1,000円超の大幅高」。ニュースが伝えるこの華やかな数字は、果たして国民の何割に「喜び」として届いているのでしょうか。多くの人々にとって、株価の上昇はテレビの向こう側の出来事であり、手元の財布に残る感触は、むしろ値上がりし続ける食材や光熱費による「痛み」です。

 この生活実感との決定的なズレを生んでいるのは、現在の経済構造が「持てる者」にはさらなる富を、「持たざる者」には物価高というコストを、同時に供給しているという残酷な真実です。 経済学には、資産価値の上昇が消費を活性化させる「資産効果」という言葉がありますが、これは株式を保有している層にしか直接的には働きません。

 具体的に構造を分解してみましょう。資産保有層、例えば新NISAなどを活用して早期に市場参入した層や、十分な余剰資金ですでにポートフォリオを構築している層にとっては、現在の株高は直接的な購買力の向上をもたらします。一方で、資産を築く余力のない非正規雇用層や、日々の生活コストに追われる層、給与収入のみに頼る家庭にとっては、株高を支える円安や企業の利益追求が、輸入物価の上昇を通じた「実質賃金の目減り」として襲いかかります。
 
 職業や属性で見ても分断は鮮明です。株高の恩恵を受けやすいのは、業績好調な輸出企業の従業員や、株主還元を重視する大企業の役職員です。一方で、内需型の中小企業や対人サービス業で働く人々は、コスト増を価格に転嫁しきれず、賃上げが物価に追いつかないまま、社会全体の「平均的な豊かさ」から取り残されていきます。

 これは個人の努力不足という次元ではなく、現在の税制やインフラがインフレ局面において資産運用を前提に設計されているという、構造的な必然です。株高がもたらした富は、果たして社会の末端まで循環する「流動性」を持っているのでしょうか。それとも、特定のプールの水位を上げるだけで終わってしまうのでしょうか。この問いに答えが出ない限り、株高のニュースは、社会の分断を際立たせるための不快なノイズに成り下がってしまう恐れがあります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)