廃プラのリサイクルはなぜ“出口”で詰まるのか 出光・竹中ら5社が挑む「建材化」への構造改革

2026年04月10日 14:17

今回のニュースのポイント

5社が廃プラを建材へ循環するスキームを実証:出光興産や竹中工務店を含む5社は、消費者などが使用した後のプラスチックを原料に再生プラスチックを製造し、建設資材へ活用する取り組みを成功させました。

油化技術とマスバランスで新材同等品質を確保:独自の油化ケミカルリサイクル技術で生産した「CR油」を原料とし、マスバランス方式を適用することで、化石燃料由来と同等の品質を持つ再生プラスチックの製造体制を整えています。

建設分野という「実需の出口」を具体化:二重床システムの支持脚という実用的な建材に再生プラスチックを適用し、廃棄物を出さない建築手法の実現に向けた具体的な道筋を示しました。

 プラスチックのリサイクルは社会的な要請として定着しつつありますが、「回収されたプラスチックが実際にどこで役立っているのか」という点については、不透明さを感じている向きも少なくありません。リサイクル技術そのものの進化に比べ、再生された素材をいかに社会の基幹部分で再利用するかという「出口戦略」がボトルネックとなってきました。今回の出光興産など5社による取り組みは、その空白を「建設資材」という具体的な形で埋める方向性を示した点に意義があります。

 2026年4月10日、出光興産や竹中工務店などの5社は、ポストコンシューマープラスチック、つまり企業やエンドユーザーが使用した後のプラスチックを原料として再生プラスチックを製造し、建材への活用に至ったとしています。プロセスとしては、まずケミカルリサイクル・ジャパンが独自の油化設備で生産した「CR油」を原料に、出光興産が石油精製・化学装置を用いてケミカルリサイクル化学品を生産します。これをプライムポリマーが化石燃料由来と同等の品質を持つ再生プラスチックへと加工し、最終的にフクビ化学工業が乾式遮音二重床システム「フリーフロアーCPシリーズ」の支持脚として製品化しました。

 日本における使用済みプラスチックの処理は、焼却による熱回収の比率が依然として高いと指摘されており、より直接的な資源循環であるマテリアル・ケミカルリサイクルの割合向上が求められています。海洋プラスチック問題や輸出規制の厳格化を受け、国内で完結する資源循環スキームの構築が急務となるなか、排出量の多い産業分野での受け皿確保は重要な課題とされています。

 従来のリサイクル素材は、分別の不備や劣化により、新材と比較して性能が劣ることが多く、用途が低付加価値分野に限られてしまう構造的な課題がありました。いわば「再生はできても需要が伸びにくい」という状態です。今回の取り組みの特徴は、油化ケミカルリサイクルを用いることで、石油由来と同等の品質を持つプラスチックの供給体制を整えた点にあります。さらに、原材料から製品への工程で特性を割り当てる「マスバランス方式」を適用することで、高度な物性が求められる建設資材への転用を可能にしました。これにより、循環の「最後のピース」である実需への道筋を具体化に向けた動きが現実のものとなりつつあります。

 このモデルが社会に浸透すれば、その影響は多岐にわたります。まず建設分野では、竹中工務店が提唱するように、建設現場から出る廃プラを再び建材として活用する「サーキュラーデザインビルド®」の実現に近づくことが期待されます。化学分野においては、既存の石油化学装置を活用しながら、リサイクル由来の製品を認証に基づいて流通させるビジネスモデルの確立に寄与します。廃棄物処理の観点からも、油化ケミカルリサイクルという処理ルートが安定することで、最終処分量を減らし、資源循環スキーム全体の持続可能性を高めることが期待されます。

 今後の焦点は、今回の二重床支持脚以外の建材への展開可能性や、製造コストの適正化、さらに建設現場から使用済みプラスチックを効率的に回収・選別するサプライチェーンの維持へと移るでしょう。廃プラは集めて再生するだけでは完結しません。どの品質で、どれだけ「使えるか」という出口の設計が伴って初めて、真の循環経済が動き出すための前提条件のひとつになるとみられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)