それカスハラかも?気づかない迷惑行動と社会の変化

2026年04月14日 10:42

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それ、やってない?「カスハラ」かもしれない行動

今回のニュースのポイント

鉄道業界がカスハラ防止の啓発を強化:北海道から九州までのJR6社と東京都交通局、日本民営鉄道協会、さらに東北・関東・関西など全国8つの地域鉄道協会の合計16事業者・団体が共同で取り組みます。

気づかないうちに迷惑行動になるケースも:本人は「正当な意見」のつもりでも、言い方や態度が現場の過大な負担になる実態を「かるた」形式のイラストで啓発しています。

現場の負担増が背景:お客さまからの意見・要望には真摯に対応する一方で、継続的に安全で質の高いサービスを提供するため、カスハラには毅然とした対応を行う姿勢を打ち出しています。

社会全体の余裕低下も影響:物価高や仕事のプレッシャーなど、ストレスを抱えやすい環境下で、サービス現場に対して感情的な言動が向けられやすい現状が指摘されています。

 駅員や乗務員に対して、つい強い言い方をしてしまった――。日々の生活の中で、そうした場面を経験した人もいるとみられます。今、こうした行為が「カスタマーハラスメント(カスハラ)」として深刻な問題となっています。

 今回の取り組みでは、北海道から九州までのJR6社と東京都交通局、一般社団法人日本民営鉄道協会、さらに東北・関東・関西など全国8つの地域鉄道協会の合計16事業者・団体が一体となってカスタマーハラスメント対策に取り組みます 。2026年4月13日より駅構内でのポスター掲出やデジタルサイネージでの画像放映が順次開始されており 、2025年度に続くこの大規模な共同キャンペーンは 、鉄道業界全体でカスハラに対する取組みを推進する姿勢を鮮明にしています。

 啓発ポスターのコンセプトは「気づかぬうちに行ってしまうカスハラ」に焦点を当てています 。かるたのイラストを用い 、無断撮影やSNS投稿、人格を否定するような言葉遣い、あるいは執拗な要求や長時間拘束といった一般的なカスハラ行為への気づきを促す構成になっています。利用者にとっては「正当な不満」の解消であっても、受け手にとっては心理的なハラスメントになり得ることが示されています。

 なぜこうした“無意識”のズレが生じるのでしょうか。長く「お客様は神様」という文化が根付いてきた日本では、金銭を支払う側が優位に立ち、強い要求を行うことを当然視する傾向が一部にあります。しかし、今回の発表において鉄道事業者は、「お客さまへ継続的に安全で質の高いサービスを提供していくために、お客さまからのご意見・ご要望に対して真摯に対応する一方で、カスハラに対しては毅然とした対応を行う」と明記しました。これは、サービスが「無制限の資源」ではなく、提供する側の人間による時間や感情コスト、安全確保のリソースの上に成り立っているという現実を示しています。

 カスハラの増加は、現場の環境変化だけが原因ではありません。人手不足や業務の複雑化で余裕を失う現場の一方で、利用者側も物価高や仕事のプレッシャー、将来不安などから多くの人がストレスを抱えやすい環境にあります。心理的な余裕を失った状態でサービス現場に向き合ってしまうことも増えており、日々の不安のはけ口として目の前のサービス提供者が選ばれてしまうケースも多いとされています。カスハラ問題は、サービス現場のトラブルであると同時に、私たちの社会が抱える「余裕のなさ」の縮図とも言えます。

 鉄道各社が連名で動いたことは、サービスの持続可能性を守るための決意表明でもあります。過度な要求によってスタッフが疲弊し、離職や採用難が進めば、最終的には利用者全体の利便性が損なわれることになります。私たちは誰もが「客」である一方で、別の場面では「サービスを提供する側」にもなり得ます。自分の言動が相手にとって建設的な要望なのか、それとも感情の発散に近いものなのかを、一呼吸おいて振り返ることが、サービスの持続可能性と互いの余裕を守るうえで重要になっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)