原油100ドルで企業は赤字に 6割が値上げへ動く理由

2026年04月14日 17:30

今回のニュースのポイント

企業のコスト負担は「2割増」想定:原油価格が1バレル100ドル超で推移するとの前提のもと、2026年4月時点の企業のコスト負担増を試算したところ、その中央値が20.0%に達するとの結果が示されています。

経常利益率はマイナス10.1%へ転落の試算:売上高が変わらず、コスト増分を十分に転嫁できないケースを仮定した試算では、全体の利益率は18.3ポイント低下。構造的な赤字転落のリスクが高まる深刻な局面と言えます。

企業の6割超が「値上げ」を予定:急増するコストへの主要な対応策として、企業の61.8%が「商品やサービスの値上げ」を検討しています。

雇用や事業規模への影響が顕在化:対応策として「雇用・人員体制の見直し(12.7%)」や「一部事業の縮小(9.7%)」を挙げる企業もあり、雇用や事業規模の調整に踏み込む可能性がにじんでいます。

 原油価格の上昇による企業収益への影響が、一段と強まる局面に入っています。調査とデータ分析からは、もはや自社努力によるコスト吸収が限界に近づき、多くの企業が価格改定へ動かざるを得ない実態が浮かび上がりました。

 東京商工リサーチ(TSR)の調査によると、原油価格が1バレル100ドル超で推移した場合、企業のコスト負担増は中央値で20.0%に達することが明らかになりました。こうした負担増を受け、原油高への対応として「商品やサービスの値上げを行う」と回答した企業は61.8%に上っています。規模別に見ても大企業で68.2%、中小企業でも61.3%に達しており、業種や規模を問わず広範な「値上げの波」が現実味を帯びています。

 収益への影響は非常に大きく、約60万社の決算データを基に「売上高が変わらず、コストの20%増分を十分に価格転嫁できない」ケースを仮定して試算すると、日本企業全体の経常利益率は従来の8.2%から一気にマイナス10.1%へと急落し、全体として赤字水準に沈み込む結果となりました。これは燃料費そのものの上昇に加え、プラスチックなどの原材料、包装資材、そして物流費が連鎖的に値上がりする「複合的な打撃」が背景にあります。

 値上げを予定している企業のうち、51.3%は「1〜3カ月以内に売価へ反映する」としており、比較的短期間での価格見直しに踏み切る動きが半数を超えています。産業別では小売業(81.7%)や建設業(70.0%)などで早期の値上げ意向が目立ちます。こうした動きは、エネルギーや物流費といった「川上」のコスト増が、食品や日用品など私たちの生活に直結する幅広い価格へ波及する可能性を強く示唆しています。

 今回の調査で懸念されるのは、原油高への対応策として「雇用・人員体制の見直し(12.7%)」や「一部事業の縮小(9.7%)」といった選択肢も挙がっている点です。値上げだけではコスト増を吸収しきれない企業では、雇用や事業規模の調整にまで踏み込む可能性がにじんでいます。原油高は単なる物価上昇にとどまらず、企業の事業構造そのものを縮小させる「負の連鎖」を引き起こす圧力となっています。

 原油高と値上げの長期化が現実になれば、家計側では生活必需品の「じわじわ型値上げ」による実質所得の目減りが避けられず、節約志向は一段と強まるでしょう。企業側では、転嫁力の差による企業間格差が拡大し、日本経済全体に対する下押し圧力が一段と強まる懸念もあります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)