今回のニュースのポイント
送電事業者向けデジタルサービスの提供を開始:富士通は、中国電力ネットワークと連携し、送電線の状態を常時計測・解析するサービスの提供を開始しました。
光ファイバーセンシングとAIの融合:送電線全径間の振動データを継続的に取得・解析し、AIによって送電容量や風況を予測・可視化します。
再エネ出力制御の低減に寄与:送電線の「動的送電容量(ダイナミックレーティング)」を正確に把握することで、再生可能エネルギーをより効率的に送電網へ流すことを目指します。
高度なデジタル技術による運用効率化:将来的には生成AIなども含む高度な技術を活用し、修繕計画の策定自動化など、運用の「無駄」を削減する構想も描かれています。
再生可能エネルギーの拡大により、電力の安定供給はこれまで以上に難しくなっています。こうした中、送電網の在り方がデータ活用によって変わり始めています。
富士通は中国電力ネットワークと連携し、送電線の状態を常時計測・解析する送電事業者向けサービスの提供を開始しました。これは、富士通の光ファイバーセンシングやAI技術と、中国電力ネットワークが実証で培った「ダイナミックレーティング」などの知見を組み合わせたものです。送電線全径間の振動データを継続的に取得・解析し、クラウド上で一元管理することで、送電網を「デジタルに管理する基盤」へと変革することを目指しています。
背景には、再エネの導入拡大に伴う「電力需給の予測が難しい」という課題があります。風力や太陽光は発電量が大きく変動するため、従来の「余裕をもって(低めに)見積もる」運用では、送電容量を十分に使い切れずに出力抑制が生じるなどの非効率さが課題でした。送電線が実際に流せる電力(動的送電容量)をリアルタイムで把握できれば、再エネをより多く受け入れることが可能になります。
今回のサービスでは、AIによって周辺の風況や将来の送電容量を予測し、系統運用を最適化します。将来的には生成AIなども含む高度なデジタル技術を活かして、今後の点検記録の整理や修繕計画の策定までを自動化・効率化し、運用の「無駄」を減らす構想も描かれています。
電力インフラの価値は、設備そのものだけでなく、生まれるデータをどう活用するかという「データ産業」の側面へと重心を移しつつあります。経済産業省も、再エネ出力制御の低減や系統運用の高度化に向けたデジタル化・データ活用の重要性を掲げており、電力インフラはデジタルツインやAIを前提とした産業へと変わりつつあります。富士通の取り組みは、送電線というハードウェアを「データソース」に変え、その解析から新たな価値を生む、電力の再定義とも言える動きです。
こうした「電力インフラのDX」によるコスト抑制や系統の安定性向上は、データセンターや半導体工場の立地を決定するための重要な判断材料となる可能性があり、地域経済の競争条件にも影響を及ぼしていくかもしれません。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













