TDKが5GHz対応部品を開発 通信品質競争の変化

2026年04月19日 10:51

TDK

通信品質の課題に新解 TDKが5GHz対応部品(画像出典:TDKニュースリリースより)

今回のニュースのポイント

5GHz帯対応の音声用ノイズ対策部品を量産:TDKは2026年4月、5GHzを超える高周波領域で、2026年4月時点で業界最高水準(TDK調べ)の高いノイズ減衰を実現した音声ライン用ノイズサプレッションフィルタ「MAF0603GWYシリーズ」の開発と量産開始を発表しました。

スマホの受信感度低下を防ぐ新技術:スマートフォン等の音声ラインから放射される電磁ノイズが内蔵アンテナに干渉し、受信感度を低下させる課題がありました。新製品は、5GHz帯の高周波領域において最大3220Ωの高いインピーダンスでノイズを抑制し、通信品質の維持に貢献します。

「ノイズ抑制」と「高音質」の両立:従来の対策部品は音声劣化の問題がありましたが 、新開発の低歪みフェライト材料を採用することで音声歪みを大幅に低減し、広いダイナミックレンジと高音質を両立しています。

 TDKが新たに開発した部品は、通信の高速化・高周波化に伴い深刻化する「電磁干渉(EMI)」という課題に対応し、通信品質の底上げを図るものです。その背景には、スマートフォンの通信環境がより高い周波数帯へとシフトしている現状があります。

 TDKは2026年4月、音声ライン用ノイズサプレッションフィルタ「MAF0603GWYシリーズ」を開発し、量産を開始しました。この新製品は、0.6mm×0.3mmという極小サイズながら 、5GHz帯の高周波領域において最大3220Ω(代表値)という業界最高水準(2026年4月現在、TDK調べ)のノイズ減衰性能を備えています。特筆すべきは、従来のノイズ対策部品(チップビーズ)で課題となっていた音質の劣化を解消している点です。独自に開発した低歪フェライト材料と低抵抗設計を導入することで、音声ラインの特性変化を抑え、広いダイナミックレンジとクリアな音質を確保しています。

 開発の背景にあるのは、複数の高周波信号が端末内で干渉する構造です。現在のスマートフォンやウェアラブル機器では、5G(Sub6)やWi-Fi(5GHz・6GHz帯)など、非常に高い周波数の電波が広く利用されています。音声回路から漏れ出す電磁ノイズがこれらの内蔵アンテナに干渉すると、受信感度が低下し、通信の安定性に悪影響を及ぼします 。つまり、音声ラインのノイズ対策が不十分であれば、どれだけ通信スペックを高めても本来の性能を発揮できないという構造的な問題が生じていたのです。

 今回の製品は、高周波ノイズのみを強力に遮断しつつ、音声信号の歪みを最小限に抑えることで、「ノイズ抑制か、それとも音質か」というこれまでのトレードオフを高度にバランスさせています。これにより、ユーザーは通信の安定性を維持したまま、高品質な通話や音声サービスを享受することが可能になります。通信品質の競争が、単なる通信チップの性能だけでなく、こうした部品レベルでの「内部環境の整備」にまで降りてきている実態が浮き彫りとなっています。

 今後はWi-Fi 7の普及や次世代通信規格(6G)への移行、さらにはAIエコシステムの拡大により、端末内部の設計はさらに複雑化することが予想されます。アンテナ感度と音質の両立が体感品質を左右する局面が増える中、EMC(電磁両立性)対策は製品競争力を支える重要な技術領域となるでしょう。端末性能の差が「内部設計」で決まる局面が広がる中、TDKのような受動部品メーカーが提供する材料技術の重要性はさらに高まるとみられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)