今回のニュースのポイント
マッサージ業の倒産が30年で最多を更新:東京商工リサーチ(TSR)によると、2025年度のマッサージ業の倒産は108件に達しました。現在の集計方式となった1996年度以降の30年間で最多となり、前年度比で14.8%増加しています。
「販売不振」が倒産原因の8割超:倒産事例の約8割が売上不振を理由としており、資本金1,000万円未満の小規模事業者が約96%と大半を占めています。大手チェーンや低価格店の台頭による競争激化が、個人経営を中心とした事業者の経営を追い詰めています。
需要拡大と利益圧迫のパラドックス:健康意識の高まりを背景に、リラクゼーション市場自体は3,000億円を超える規模へと成長しているとみられています。しかし、店舗数の増加スピードがそれを上回り、激しい客の奪い合いが起きています。
「労働集約型」ゆえのコスト転嫁の難しさ:光熱費やテナント料の上昇に加え、人手に依存する業態のため人件費の高騰が直撃しています。競合他店への顧客流出を恐れ、コスト増をサービス価格に転嫁できない構造が収益を圧迫しています。
マッサージ店の倒産が増えているのはなぜか。背景には、ストレス社会でリラクゼーションへの需要は高まっているにもかかわらず、供給過多とコスト上昇によって利益が残らないという、サービス業特有の厳しい構造があります。
東京商工リサーチ(TSR)の調査によれば、2025年度(25年4月〜26年3月)のマッサージ業の倒産は108件となり、過去30年間で最多を更新しました。前年度の94件から14.8%増加しており、負債1億円未満の小規模事業者が大半を占め、資本金1,000万円未満が約96%にのぼります。倒産の原因としては「販売不振」が約8割に達しており、資金力の乏しい個人経営店が市場から退出を余儀なくされている実態が明らかになっています。
背景にあるのは、市場の拡大を上回るペースでの「店舗の乱立」です。健康志向や高齢化を背景に、リラクゼーション市場は3,000億円を超える規模へと成長を続けているとみられていますが、それに伴い大手チェーンから低価格を売りにした新興勢力までが次々と参入しました。利用者の選択肢が増えた一方で、特定の地域に同業態が密集する「過当競争」が激化し、集客コストの増大や客単価の下落を招いています。
この問題の本質は、「需要増が必ずしも利益増に結びつかない構造」にあります。マッサージ業は人手に依存する「労働集約型」のビジネスであり、IT化による効率化に限界があります。そのため、昨今の最低賃金引き上げに伴う人件費高騰や、光熱費・消耗品費の上昇が利益をダイレクトに削り取ります。他の生活サービスと比べてもマッサージ料金の上昇ペースは限定的と指摘されており、競合他店との価格競争から値上げに踏み切れない状況が、経営をさらに苦しくさせています。
こうした動きは、サービス業全体の二極化を加速させる可能性があります。資金力のある大手は最新設備の導入や広告宣伝で囲い込みを進める一方、個人経営店は独自の専門性やリピーターの確保ができなければ、淘汰を避けられない局面に入っています。利用者にとっては安価な店舗が増える利点がある反面、店舗の入れ替わりが激しくなり、慣れ親しんだ施術者がいなくなるといった質の維持が課題となります。
価格以外の付加価値で差別化できるかが、経営の分岐点となっています。単なる「時間の切り売り」から脱却し、特定の悩みに対する専門性の強化や、顧客満足度を高めるリピート戦略をいかに構築できるかが鍵を握ります。市場のパイは大きいものの、経営体力と戦略の差が「生き残りの差」として明確に現れる時代に突入しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













