今回のニュースのポイント
農業倒産は105件と1996年度以降で最多:前年度比14.1%増となり、統計のある30年間で初めて100件の大台を超えました。
負債総額も急増し経営ダメージ深刻:負債総額は約421億円と前年度の約2.4倍に拡大しており、一社あたりの負債規模が大きくなっています。
円安で資材・飼料価格が上昇:輸入に依存する肥料や飼料、燃料などの「輸入コスト」上昇が、自助努力の限界を超えて収益を圧迫しました。
小規模農業の収益悪化が顕著:倒産した事業者の約8割が資本金1,000万円未満であり、コスト上昇に対する抵抗力の弱い層から崩れています。
農業分野で倒産が急増しています。東京商工リサーチの集計によれば、2025年度の農業倒産は105件を記録し、前年度から4年連続の増加となりました。食料という絶対的な需要がある産業でありながら、統計のある1996年度以降で最多を更新した背景には、為替や国際市況に左右される収益構造上の弱点があります。
今回の倒産増加の最大要因は、円安とコスト高の直撃です。近年の円安進行により、輸入に頼る肥料、飼料、農業資材の価格は上昇し続けています。ハウス栽培の暖房費や出荷時の輸送燃料も、原油高と為替の影響で高止まりしたままです。これらはいずれも輸入価格の影響を強く受けるコストであり、販売価格への転嫁が難しい中で、個々の農家の経営を強く圧迫しています。
本質的な問題は、需要があっても利益が出にくい「作れば作るほど苦しい農業」という構図です。農産物の価格は市場や卸売業者が主導権を握ることが多く、生産者側の価格決定力は極めて弱いのが実態です。コストが上がってもそれを価格に十分に反映できないため、売上が維持されていても利益が残らない状況に陥っています。
特に小規模な農業法人や零細経営へのしわ寄せが深刻です。倒産した事業者の約8割が資本金1,000万円未満であり、規模の経済を効かせにくい層が真っ先に影響を受けています。また、この傾向は特定分野に留まりません。最多の野菜作(43件)に加え、酪農(13件)や肉用牛(8件)、米作(6件)など主要な分野で幅広く波及しており、日本の農業ビジネスモデルの脆弱さがさまざまな分野で露呈し始めていることを示唆しています。
食料は国民生活の基盤であり、農業倒産の増加は「食卓に直結するリスク」です。国内生産者が退出することで輸入依存度がさらに高まれば、将来的な価格高騰や供給不安として家計に跳ね返る懸念があります。
円安や不透明な海外情勢が続く限り、燃料や資材のコスト高は長期化するでしょう。農業は今、単なる淘汰のフェーズではなく、持続可能な産業構造へと再構築できるかどうかの転換点に差し掛かっている可能性があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













