財政はどう変わるのか 令和8年度予算の全体像

2026年04月22日 15:45

国会議事堂6

国の予算122兆円規模へ 税収増でも続く財政課題

今回のニュースのポイント

一般会計予算は過去最大の122兆円規模:令和8年度一般会計予算は、前年度当初予算比6.2%増の122兆3,092億円となりました。

28年ぶりの基礎的財政収支(PB)黒字化:当初予算ベースの基礎的財政収支は1.3兆円の黒字となり、平成10年度当初予算以来、28年ぶりに黒字に転じています。

社会保障と国債費で歳出の半分以上を占める:社会保障関係費(39兆559億円)と国債費(31兆2,758億円)が主要経費の大きな割合を占め、歳出構造の硬直化が続いています。

税収増の一方で続く国債依存:税収は過去最高の約83.7兆円を見込む一方 、歳入の約4分の1を借金に頼る公債依存度24.2%の状況にあります。

 政府が公表した令和8年度予算(一般会計122兆3,092億円)は、政府が掲げる「成長型経済」への転換を目指す日本経済の現在地を映し出しています。今回の予算は、生活の安全保障、物価高対応、成長投資、そして防衛力の強化を柱としており、成長と財政健全化のバランスをいかに取るかという「成長と財政制約が同時に進む構造」に変化の兆しが見られます。

 一般会計予算の規模は前年度当初予算から約7.1兆円(6.2%)増加して過去最大を更新しました。歳入面では、所得環境の改善等を背景に租税及印紙収入が約83.7兆円(7年度補正後比3.8%増)と高い伸びを見込んでいます。特筆すべきは、当初予算ベースの基礎的財政収支(プライマリーバランス)が1.3兆円の黒字となり、28年ぶりに黒字へ転じた点です。指標上は財政健全化が進んだ形とみられますが、その持続性にはなお課題が残ります。

 歳出構造を精査すると、政策的裁量の余地が小さい支出が大半を占める、硬直的な実態が見えてきます。主要経費のうち、社会保障関係費が39兆559億円(構成比31.9%)、国債の利払いや償還に充てる国債費が31兆2,758億円(同25.6%、地方交付税交付金等が20兆8,778億円(同17.1%)となっており、これら3項目だけで一般会計全体の約7割を占めています。特に社会保障費は、高齢化要因に加え、物価・賃金動向を反映した増額が実施されています。

 税収は伸びているものの、依然として公債金(国債発行額)は29兆5,840億円にのぼり、歳入の24.2%を借金に依存する構造は変わっていません。債務残高対GDP比は依然として高い水準にあり、財政の持続可能性を確保し、マーケットからの信認を維持することが喫緊の課題となっています。

 財政報告でも、教育無償化の推進や、賃上げ・物価高を踏まえた公務員給与改定、社会保障制度の持続性確保など、生活に直結する項目を重点化したと説明しています。一方で、将来的な負担増を抑制するため、現役世代の保険料率の上昇を止めることを目指した社会保障改革の検討も進められる方針です。

 今後の焦点は、GX(グリーントランスフォーメーション)やAI・半導体といった成長分野への戦略的投資を継続しつつ、いかにして債務残高を安定的に引き下げていくかにあります。PB黒字化という一つの節目を迎え、日本の財政が「強い経済」を支える持続可能な構造へと転換できるかが問われています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)