使い終えたエアコンが新しいエアコンに 三菱電機が始めた“資源循環”の新戦略

2026年06月02日 16:25

画・夏にエアコンを使っても「暑さて_寝苦しい」人か_6割以上 日本の夏の厳しい状況

家庭用空調製品から回収したレアアース磁石を再資源化し、新たな製品へ再利用する「自己循環リサイクル」を国内で初めて開始した三菱電機。資源循環の取り組みが注目されている。(イメージ)

今回のニュースのポイント

三菱電機は、信越化学工業およびエコアドバンスと連携し、廃棄された家庭用空調製品からレアアース磁石を回収・再資源化して新たな家庭用空調製品へ再利用する「自己循環リサイクル」を国内で初めて開始したと発表しました。従来の資源循環における部品解体の難しさやコストといった課題に対応し、回収から再利用にいたる一連の工程を一貫管理する仕組みを構築しています。環境負荷の低減と希少資源の有効活用を両立させる今回の試みは、製造業における資源調達およびサーキュラーエコノミーの推進に向けた具体的な戦略として位置づけられます。

本文
 三菱電機株式会社は2026年6月2日、家庭用空調分野において国内初となる、使用済み製品からレアアース磁石を回収・再利用する独自の資源循環スキームを開始しました。近年、高性能モーター等に不可欠なレアアースは、採掘量の限界や採掘にともなう高い環境負荷を背景に、効率的な資源循環が強く求められています。しかし、家庭用エアコン等の空調製品は、部品の分解の複雑さや処理コストの観点から回収率が低く、資源の再利用を進める上での大きな障壁となっていました。今回の取り組みは、こうした課題に対する具体的な解決策となる包括的な循環モデルです。

 新たに構築された「自己循環リサイクル」のスキームは、関係各社がそれぞれの専門技術を活かして連携する点が特徴です。まず、三菱電機関係会社のハイパーサイクルシステムズが家電リサイクル法に基づき家庭用空調製品を回収・解体し、同じく関係会社のグリーンサイクルシステムズが、回収・解体された部品のうち圧縮機を分解してローター部品を抽出します。続いてエコアドバンスがローター部品からレアアース磁石を取り出し、信越化学工業がその磁石からネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウムの4元素を分離・精製して再資源化します。最終的に、再資源化されたレアアースを使用した磁石を三菱電機が新たな家庭用空調製品の製造に再利用する流れを確立しました。このプロセスを三菱電機が一貫して管理することで、円滑な資源循環と効率化を実現しています。

 今回の取り組みにおいて注目されるのは、国内で家庭用空調製品を製造する際に使用する対象レアアースのうち、重量ベースで約35%を賄える見込みとする試算です。この試算は、同社が国内製造で使用するレアアースのうち、ジスプロシウムとテルビウムを対象としたものですが、調達資源の一定割合を自社主導の循環ルートで確保できる見通しが示されました。

 原材料を外部から調達して消費し、廃棄する従来型の経済モデルから、資源を回収して繰り返し製品へと生まれ変わらせる「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」への移行は、製造業全体の重要な課題となっています。今回の発表は、単に回収した資源を原材料市場へ戻すだけでなく、自社製品から回収した資源を再び自社製品へ活用する仕組みを構築した点が特徴です。

 三菱電機は、今回運用を開始した家庭用空調製品での仕組みを足がかりに、今後は業務用空調製品やその他の自社製品についても、それぞれの回収ルートに適した資源循環スキームの構築を進める方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)