管理職はなぜ敬遠されるのか 働き方改革で変わる“責任”の重さ

2026年05月07日 06:57

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「管理職になりたい」会社員は約17%にとどまり、8割超が昇進を敬遠する実態が浮き彫りになりました

今回のニュースのポイント

「管理職になりたい」会社員は約17%にとどまり、8割超が昇進を敬遠する実態が浮き彫りになりました。働き方改革で部下の残業が減る一方、その管理や穴埋めが集中しやすい「しわ寄せ構造」が生じやすくなっているとの指摘もあります。対人業務のコスト増に対し、報酬や裁量が伴わない「割に合わない役割」への変化が管理職離れを加速させています。

本文

 ゴールデンウィークが明け、今日から再び「現場の責任」を背負う日々が始まります。しかし今、日本の職場では大きな変化が起きています。かつては成功の証だった「管理職」への昇進を、多くの社員が慎重に捉えるようになっているのです。

 パーソル総合研究所の「働く1万人の就業・成長定点調査」2026年版によると、現在の会社で管理職になりたいと答えた正社員は17%にとどまり、8割以上は「なりたくない」「どちらかといえばなりたくない」と回答しています。背景にあるのは、単なる上昇志向の欠如ではなく、管理職を取り巻く「負担構造」の劇的な変化です。

 かつての管理職は、給与増と権限を背景に組織を動かす存在でした。しかし現在は、人手不足や若手の離職、ハラスメントやメンタルケアへの対応といった「対人コスト」が増大。さらに、皮肉にも「働き方改革」がこの状況に拍車をかけている側面があります。部下の残業上限や有給取得を厳格に管理する一方で、現場の業務量が減らなければ、その調整や不足分の穴埋めは管理職の双肩にかかりやすくなります。いわば、組織の歪みが中間層に集まりやすい「しわ寄せ構造」が、働き方改革の進展とともに一段と鮮明になっていると言えます。

 こうした負担に対し、賃金体系とのバランスを指摘する声も切実です。多くの調査でも、「残業代が出なくなる一方で、固定給の上昇は限定的で責任だけが増える」といった現状に、多くの社員が「割に合わない」と冷ややかな視線を送っています。また、AIツールの普及で事務作業は効率化されたものの、代わりに「人間同士の利害調整」や「デリケートな対人業務」という、AIでは代替しにくい業務の比重が高まっていることも、疲弊の一因とみられています。

 管理職離れは、単なる若者の意識変化ではなく、日本企業の負担構造そのものを映し出しています。人を管理する役割をどう再設計し、責任をどう適切に分配するのか。日本企業は今、働き方だけでなく「責任のあり方」という根源的な問いに直面しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)