宅地建物取引をめぐる強引な勧誘行為が後を断たないことから国土交通省は宅地建物取引での契約締結に係る勧誘行為で消費者の保護を強化するため、宅地建物取引業法施行規則に「禁止行為」を明文化し、取締りを強化する。現在、規則改定のためのパブリックコメントを募っており、意見を踏まえて、8月下旬に公布、10月上旬に施行する予定。
迷惑行為として規則に明文化されるのは「勧誘に先立って、名称、目的を告げることなく勧誘を行う行為を禁止。契約締結しない意思を表示した者に対する勧誘を禁止。迷惑を覚えさせるような時間の電話・訪問勧誘を禁止」するというもの。
国土交通省が全国消費生活情報ネットワーク・システムに登録されている消費者からの相談情報を独自に調査・分析した結果、今年3月だけでも397件の相談が寄せられ、そのうち307件が「執拗な勧誘」「執拗・強引な勧誘」に対する相談であった、という。
また、事業者名・担当者名・勧誘目的を隠匿したものが62件、威迫が54件、長時間勧誘が32件、午後9時から翌日午前8時までの間での勧誘が17件とこうした勧誘行為に対する相談も目立った。相談内容から397件のうち、325件までが悪質な勧誘と考えられるケースとしている。
また同省が2009年度から2010年度に行った全国消費生活情報ネットワーク・システムに登録されている消費者からの相談情報からの分析で、マンション勧誘に関して約1万1000件の相談が寄せられ、執拗な勧誘・再勧誘が5705件にのぼった。また、長時間勧誘では電話での勧誘では2時間台が最も多く、全体の4割。5時間以上が4.2%あった。電話以外での勧誘では4時間台が最も多く(18.6%)、7時間以上というケースが23.7%になっていた。今回の改定は、こうした実態を踏まえてのもの。
(編集担当:福角忠夫)