今回のニュースのポイント
全国の住宅着工件数は資材高や金利上昇への警戒感などを背景に減少傾向が続いています。一方で、住宅メーカー各社は、人口流入や雇用集積が続く都市部を中心に、拠点整備や展示場出展を継続しています。中でも福岡市は、市公表の市民経済計算によると、令和4年度の実質経済成長率が4.0%となり、全国平均(1.5%)を上回る成長を記録しました。住宅市場は現在、「全国一律の量」を追う時代から、都市ごとの成長性や需要構造を見極める時代へ移行しつつあります。
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「全国的に住宅着工が減っている」——。統計だけを見れば、住宅市場は縮小局面に入っているように映ります。実際、国土交通省の統計では、新設住宅着工戸数は前年割れが続いており、住宅取得環境は以前より厳しさを増しています。背景には、建築資材価格や人件費の上昇に加え、住宅ローン金利上昇への警戒感があります。
一方で、住宅メーカー各社の動きを見ると、都市部を中心に展示場出展や営業拠点の整備は継続しています。例えば、注文住宅ブランド「アキュラホーム」を展開するAQ Groupも、福岡市内で新たな住宅展示場を出展しました。同社は、出展に先駆け福岡エリアでCMを展開し、認知度を醸成。オープン前から多くの問い合わせがあり、契約に至るケースもあったと言います。満を持してオープンしたマリナ通り展示場は福岡のエリア特性をキャッチアップしており、ニーズの高い「大空間」と、流行りのインテリアスタイル「ジャパンディ」を取り入れました。高い成長性が見込める福岡市内をマーケット戦略の足掛けとし、その後は近隣の「大野城市」「久留米市」への出展も予定しています。企業側は「全国平均の市場縮小」だけではなく、都市ごとの人口動態や雇用環境、所得水準などを踏まえて投資判断を行っていく必要があると言えます。
福岡市の令和4年度の市内総生産(名目)は約8兆2,000億円、実質経済成長率は4.0%となり、全国平均の1.5%を大きく上回りました。経済構造を見ると、市内事業所・従業者ともに第3次産業の割合が高く、卸売・小売業、情報通信業、専門サービス業など都市型産業の集積が進んでいます。雇用の厚みや人口流入が続くことで、住宅需要を一定程度支える構造となっています。
さらに、福岡市では観光需要やインバウンド回復も市内経済を押し上げました。現在の住宅市場では、全国一律で需要が動くというより、都市ごとの差が拡大しつつあると言えます。こうした中で、住宅メーカー各社は、成長性が見込まれるエリアに対して段階的に拠点整備を進めています。今回の福岡市への住宅展示場出展も、その流れの一つとして位置づけられそうです。
住宅メーカーにとって、どの都市に拠点を設け、どのような顧客層に価値提案を行うか。その判断は、人口動態や都市経済の変化を映す一つの指標になっていきそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













