死刑のあり方についての勉強会 議論を整理

2011年07月13日 11:00

 法務大臣の私的機関として開かれている法務省の死刑のあり方についての勉強会は死刑制度の存廃についてのこれまでの議論を整理した。今後も、議論は継続していく方針。ただ、勉強会であるため、結論を引き出すことはない、という。

 勉強会はこれまでに6回開かれ、死刑制度の根本的思想の視点をはじめ、犯罪抑止の面、誤判のおそれ、被害者・遺族の心情、犯人更生の可能性、世論調査、国際的な潮流からの視点、憲法(36条・残虐な刑罰の禁止)との関係、裁判員裁判と死刑など多角的な視点から幅広く存廃の議論を重ねている。

 根本思想での対比では、死刑廃止の立場からは「被害者賠償や悔悟の生活を送らせた方が刑罰の目的に合致する」とし、死刑存続の立場からは「命を奪ったものは自分の命を持って償いをし、責任を果たすほかない」と応報思想を反映させる。この考えは、犯罪抑止論にもそのままつながっている。一方、死刑廃止の立場では「人間は死刑があろうとなかろうと人を殺す」「犯罪抑止効果は死刑の正当化根拠にならない」などとしている。

 世論についても、死刑廃止の立場からは「死刑制度廃止、停止は国際的潮流で、世論に迎合するのでなく、政治がリーダーシップをもって死刑廃止に導いていくべき」とすれば、死刑存続の立場からは「国民の意識が強く反映されなければならない。罪刑均衡のとれた刑を科さなければ刑事司法に対する国民の信頼が得られなくなる。また、犯罪が増え、捜査に対する協力もえられなくなる」と対論している。
(編集担当:福角忠夫)