「成長投資」を止めるリスクとは。ルネサスやコマツに見る、未来の収益を生む“攻めの支出”の本質

2026年02月15日 19:32

 経済ニュースで頻繁に耳にする「成長投資」という言葉。これは、企業が現在の利益を削ってでも、将来の収益基盤を作るために行う「未来への支出」を指します。具体的には、新しい工場の建設(設備投資)、新技術の開発(研究開発投資)、さらには従業員のスキル向上(人的資本投資)などがこれに当たります。

 成長投資を理解する上で重要なのは、それを「止めた場合に何が起きるか」という視点です。その影響は、時間差を伴って二段階で現れます。

 まず、投資を止めると「すぐ起きる影響」は、生産効率の停滞とコスト競争力の喪失です。例えば、建設機械大手のコマツは、無人走行や遠隔操作などのDX(デジタルトランスフォーメーション)に巨額の成長投資を続けています。もしこの投資を止めてしまえば、深刻な人手不足に悩む現場のニーズに応えられなくなり、競合他社にシェアを奪われるという結果が直ちに現れます。

 次に、数年後に「後から効いてくる影響」は、市場そのものからの退場です。半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、国内工場へ数千億円規模の成長投資を断行しています。半導体のような技術革新が激しい分野では、一度投資の手を緩めると、数年後には次世代製品の開発レースから脱落し、二度と追いつけなくなるという致命的な遅れに繋がります。
 
 成長投資は、いわば「自転車のペダル」のようなものです。漕ぐのを止めれば、その瞬間は足の疲れが取れる(利益が残る)ように見えますが、やがて推進力を失って転倒してしまいます。

 政治的な文脈でも「成長投資」は語られますが、本質は極めてシンプルです。それは「明日、今日よりも豊かであるために、今何を選択するか」という問いに他なりません。私たちがニュースを通じて各企業の投資動向を見る際は、その支出が「目先の維持」なのか、それとも「未来の価値創造」なのかを見極める視点が重要になると考えられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部)