米カリフォルニア州、量子・深宇宙研究に3000万ドル 核融合の商用化・製造戦略も法制化

2026年10月01日 10:09

今回のニュースのポイント

米カリフォルニア州のニューサム知事は9月30日、量子技術および核融合産業の育成に向けた最新の政策パッケージを発表しました。州予算から3000万ドルを量子・深宇宙研究に配分するほか、核融合については研究開発機会の拡大から商用化戦略、製造業の育成までをカバーする戦略計画策定の法律(SB 925)に署名しました。量子分野での研究基盤強化に加え、核融合における将来の産業・製造基盤形成まで政策対象を広げる包括的な取り組みとなります。

本文
 米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は9月30日、量子技術や核融合などの先端技術分野における州内の競争力を高めるための新たな資金投入および法案への署名を発表しました。最先端分野の研究支援にとどまらず、将来の産業化や製造業の定着までを見据えた州政府の政策方針が示されています。

■ 量子・深宇宙研究に3000万ドル

 今回の発表における資金面の中核となるのが、量子技術と深宇宙研究に対して配分される3000万ドルの新規州投資です。

 この資金は、先端的な量子・深宇宙研究をさらに進め、官民連携(PPP)を活用して州内における量子分野のスタートアップ・エコシステム育成を促進することを目的としています。州政府は2025年にも量子研究・イノベーション支援として400万ドルを配分していましたが、今回の3000万ドル投資により、量子・深宇宙研究への財政支援を拡大する形となります。なお、この3000万ドル投資は量子・深宇宙研究を対象としたものであり、核融合分野への直接的な資金配分ではありません。

■ 核融合、商用化と製造業育成へ

 核融合エネルギー分野では制度整備が進められました。ニューサム知事は上院法案(SB 925)に署名し、州としての核融合戦略の法制化を行いました。

 この法律によりカリフォルニア州は、核融合技術に関する包括的な戦略計画を策定する枠組みを構築します。計画には、研究開発機会の拡大にとどまらず、将来の商用核融合戦略の策定や、核融合関連の製造業を州内に引きつけ育成する施策が含まれています。州政府が研究開発だけでなく、商用化戦略や製造業の育成まで政策対象に据えています。

■ 核融合R&Dには既に500万ドル

 カリフォルニア州における核融合への取り組みは、今回の法整備以前から進められています。州は2025年、「核融合研究開発イノベーション・イニシアチブ(Fusion Research and Development Innovation Initiative)」を創設し、核融合R&Dの推進に500万ドルを配分する取り組みを開始しています。

 州が核融合R&Dへの支援を進める一方、今回署名された法律では、戦略計画や商用核融合戦略、製造業の育成も政策項目として盛り込まれました。

■ 先進原子力も州が可能性を評価

 エネルギー分野では、原子力に関する法案(AB 2647)への署名も行われました。

 この法律に基づき州政府は、新規原子力発電所がカリフォルニア州の掲げる「2045年までの電力100%ゼロカーボン化」の目標達成に果たし得る役割や、先進原子力技術が重要インフラを支える可能性について、一般からの意見募集を含む包括的な評価を実施します。なお、AB 2647は将来的な可能性や役割を評価する制度設計であり、核融合に関するSB 925とは対象が異なるほか、現時点で新規原発の建設決定や着工を意味するものではありません。

■ 半導体・重要鉱物でも民間投資

 州政府は、こうした量子やエネルギー分野の法整備と並行して、半導体や重要鉱物なども含めた先端産業全般の育成を進めています。

 州政府によると、州の事業支援策である「California Competes」税額控除の直近ラウンドでは、10億ドルの民間投資につながりました。この中にはサムスン・セミコンダクターによる投資や、MPマテリアルズによる1億2000万ドル規模のレアアース施設拡張などが含まれています。

 カリフォルニア州は量子分野で研究・人材・スタートアップの基盤整備を進める一方、核融合では研究開発に加えて商用化戦略や製造業の育成を政策対象に広げています。さらに先進原子力については、新規原子力発電所が2045年までの電力100%ゼロカーボン化に果たし得る役割などを評価するなど、分野ごとに政策ステージを切り分けた産業・エネルギー施策を推進しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)