米関税対策に9000万カナダドル BC州、製造業投資と「米国以外」の販路開拓へ

2026年09月20日 16:17

カナダ・アメリカ関税イメージ

カナダ・ブリティッシュコロンビア州政府は、米国の関税で影響を受ける企業や地域への対応として、既存4制度に計9000万カナダドルを追加投入する。製造業投資や技術の商用化、地域インフラ、米国以外への市場開拓を支援する。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

カナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州政府は9月18日、米国の関税で影響を受ける企業や地域を対象に、既存の4制度へ合計9000万カナダドルの追加資金を投入すると発表しました。特徴は、企業が負担する関税そのものを直接補填する仕組みではない点です。資金を製造業の設備・技術投資、州内技術の商用化、地方経済インフラ、米国以外への市場開拓へ投入します。州政府は「Look West」戦略で米国への依存度を下げ、市場を多角化する方針を掲げており、今回の支援では特に影響の大きい林業企業と林業依存地域からの申請を優先し、審査を迅速化するとしています。

本文
 米国の関税措置によって貿易環境が変化する中、カナダ西部のブリティッシュコロンビア(BC)州政府が新たな支援策を打ち出しました。BC州政府は9月18日、既存の4つの産業・地域支援制度に対して合計9000万カナダドルの追加資金を投入すると公表しました。今回公表された施策の大きな特徴は、米国の関税によって発生した企業の損失や関税負担額そのものを政府が直接穴埋めする「損害補填」の形を取っていない点にあります。貿易環境の変化に対し、企業が設備更新や技術開発、新製品の投入、さらには米国以外の新市場開拓を進めるための投資を公的資金で後押しする制度設計となっています。

 追加される9000万カナダドルの資金は、明確な役割を持った4つの既存制度に配分されます。まず全体の3分の1に相当する3000万カナダドルが「BC製造業雇用基金(BC Manufacturing Jobs Fund)」へ拠出されます。この基金を通じて、企業が進める新たな製造設備、先進技術、インフラへの投資を資金面から助成し、生産性の向上、新製品開発、地域サプライチェーンの強化、そして新たな輸出市場の開拓を促進します。この基金は2023年の創設以来、すでに150件を超えるプロジェクトへ1億5300万カナダドル超を支援し、州内で4800人を超える雇用の創出・維持と、10億カナダドル超の設備投資を呼び込んできた実績を持ちます。

 さらに、州内の革新的なテクノロジー企業を支援する「統合支援イニシアティブ(Integrated Marketplace initiative)」へも3000万カナダドルが追加投入されます。ここではBC州企業による新技術の商用化や初回販売、市場投入を支援し、州内企業の技術基盤を底上げします。一方、地方の経済振興を目的とした「農村経済多角化・インフラプログラム(Rural Economic Diversification and Infrastructure Program)」には1500万カナダドルが充てられ、投資誘致や雇用につながる地方の経済インフラ整備を後押しします。そして残る1500万カナダドルは「BuyBC」プログラムの拡大へ振り向けられます。従来は農業や食料品が中心であった地産地消・販売促進の枠組みを他の州産品へも拡大するほか、国際的な広告宣伝キャンペーンを強化し、米国以外の海外市場への販売・輸出拡大を後押しします。

 BC州政府は、米国の関税措置によって最大の影響を受けているのは林業部門との認識を示しています。今回追加資金を投入する支援策では、林業部門および林業依存地域からの申請を優先的に扱い、審査を迅速化する方針です。

 今回の決定は、州政府が進める中長期的な産業戦略「Look West」とも接続しています。州政府は同戦略を通じて、米国への依存度を下げ、より自立的で強靱な経済を構築するため、市場の多角化やテクノロジー、航空宇宙、海洋、AI・量子、ライフサイエンス、建設イノベーションなどの成長分野の育成を進めています。今回発表された9000万カナダドルは、関税相当額を直接補填する仕組みではなく、設備・技術投資や商用化、地域インフラ、市場の多角化を支援する内容となっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)