野田佳彦総理は16日午後6時から衆議院の解散に伴う記者会見を行い「社会保障と税の一体改革を実現した暁には、近いうちに国民の信を問うと申し上げた。その約束を果たすため解散した」と冒頭に説明した。
そのうえで野田総理は「政治は筋を通さなければならない。そのことによって、初めて国民の政治への信頼を回復することができると判断した」と述べた。
また「解散の環境整備と言ってきた公債特例法案、衆議院議員小選挙区での一票の格差の是正と議員定数の削減への道を切り開くことができたと思っている」と語った。
野田総理は、今回の総選挙の意義は「2013年以降の日本の舵取りをどの方向で進めていくのかということだ」とし「前に進めていくのか、政権交代前まで時計の針を戻し、古い政治に戻すのか、どちらを選ぶかだ」と5つの政策をあげてアピールした。
5つの分野のトップは(1)社会保障。総理は「ゆるぎない安心をつくるためにやりとげなければならない」とした。
次いで(2)経済政策の軸足をどこに置くかだとし、「自民党は国土強靭化計画との方針で語ってくるだろうが、積算根拠もなく、総額ありきで、従来のように公共事業のばら撒きで日本が再生するとは思わない」と自民の提案を批判。
「我々はグリーンエネルギー革命、ライフイノベーションの実現、農林漁業・中小企業を育み、雇用をつくりだしていく、世界とともに成長するため、世界の需要を取り込み、守るべきものは守りながら、TPP交渉参加など経済連携を同時に追及し前進していきたい」と述べた。
また(3)エネルギー政策では「原発に依存しない社会をつくる。自民党は大きな方向性は10年かけて決めるといっている」と原発政策が自民政権では旧来に戻ってしまうことを懸念した。
(4)外交安全保障では「大局観をもって、冷静に現実的な外交安全保障政策を推進してきた」とし「今後もその姿勢を堅持していきたい」と語った。野田総理は「強いことを言えばいい、強い言葉で外交安全保障を語る風潮が強まってきたように思う。極論の先には真の解決策はない」と強調した。
総理は最後に(5)政治改革を取り上げ「選挙での一票の格差是正と国会議員定数削減に道筋をつけること、削減できるまでは国会議員の歳費を削減すること、その結論を得ることができた。どの政党が、これを成し遂げようと努力したかは国民のみなさんにご理解いただけるものと思う」とし「間違いなく議員定数を削減するために、脱世襲政治を実現するために、わたしたちは政治改革の先頭に立っていく」とアピール。
野田総理は「これから1ヶ月間、これら5つの分野での議論を大いにやって、国民のみなさまの正当なる審判を得たい」と強調した。(編集担当:森高龍二)