アマゾンが農業ストアをオープン、アクティブシニアを囲い込めるか

2013年03月21日 09:12

 食の安全や地産地消への関心の高まり、長引く不況に対する節約志向や定年退職後の趣味、食育や情操教育一環など、様々な要因をもって市場が拡大しつつある家庭菜園。矢野経済研究所の調査によると、2010 年の家庭菜園向け野菜苗・果樹苗の市場規模は前年比107.8%の139億円となり、2011年は夏場の節電意識の高まりにより「緑のカーテン」向けのゴーヤなどの売れ行きが好調となったことで前年比108.6%の151億円と予測されているなど、毎年10%前後という高成長と遂げている。

 こうした需要拡大を受けて、従来ガーデニング向けの花苗に注力してきた種苗メーカーは、野菜種苗のラインナップを拡充。さらにアマゾンが、3月19日から趣味から専業まで幅広いニーズに対応する「農業ストア」をオープンし、この市場に参入した。

 この春から作物の栽培を始めたい初心者から事業として農業を行う人まで、幅広いニーズに対応した1万点以上のアイテムを集結。農業・園芸用資材、剪定用具、土工農具、農業用機器・パーツ・アクセサリ、肥料・薬、ビニールハウス・温室、害虫・害獣対策用品、保管・運搬用具、測定農具、農業関連書籍などのジャンルに分かれ、ホンダ<7267>、リョービ<5851>、住友化学園芸、Black&Decker、キンボシ、栄工業などのブランドを取り揃えているという。また、カテゴリー検索やキーワード検索に加え、「畑を耕す」「植物を植える」「土を肥やす」などの作業シーンやブランドからも商品を検索することが可能となっている。なお、アマゾンが販売、発送する農業・園芸関連用品は、国内通常配送が無料とのこと。

 前出矢野経済研究所の調査によると、家庭菜園の実施に否定的ではない意向を持ちながらも、きっかけがなくやり方がわからないため実施しない、していないという回答もあるという。こうした未実施ユーザー層に向けたプロモーションが出来れば、今以上に成長の余地がある市場である。特にこれからに内需を牽引すると予測されているアクティブシニアはインターネットにも抵抗感が少ないため、囲い込むことが出来れば、より大きな市場となり得るであろう。(編集担当:井畑学)