低炭素社会への切り札、家庭用燃料電池普及のカギとなるのは?

2011年02月28日 11:00

 低炭素社会へ向けての切り札的存在と言っても過言ではない「家庭用燃料電池」。普及のカギは消費者の負担が少ないコストの早期実現である。

 世界で初めて商品化されたのが2009年、家庭用燃料電池は「エネファーム」の愛称で一般消費者にも随分浸透した感がある。これは、市場に出る1年も前からCMなどを通じ、PRされた結果でもあるが、実際の設置台数は2009年度が約5200台、2010年度は約6000台(見込)と、まだまだ導入期を脱したとは言えないのが現状だ。一刻も早く普及期に到達するべく、現在多くの企業の間で、高効率で低コストの製品の開発競争が盛んに行われている。

 そもそも、燃料電池と言っても4つのタイプが存在し、その中で一番普及しているのが固体高分子形燃料電池(PEFC)で、家庭用としては既に使用されており、将来的には「FCV(燃料電池車)」においても利用が想定されている。そのメリットは小型化がしやすく、低コストへの期待度も大きい所だ。

 このPEFCタイプの「エネファーム」は既に第2世代に突入している。4月1日から発売される新製品はパナソニックと東京ガスが共同開発したもので、従来よりも価格を70万円下げ、世界最高の定格発電効率をさらに向上させたものだ。

 そして、PEFCとは異なるタイプの固体酸化物形燃料電池(SOFC)が10月にJX日鉱日石エネルギーより遂に商品化されるというニュースも報じられた。SOFCは(財)新エネルギー財団(NEF)をはじめとする様々な研究機関で実用化の実証実験が行われてきたもので、今回の商品化は世界初となる。SOFCはエネルギー効率が従来のPEFCタイプよりも10ポイント向上する。また、価格は第2世代のPEFCの価格(276万1500円※予定)よりも安い270万円程度で販売される予定だ。

 家庭用燃料電池は2つのタイプが存在することで、市場で競争されることになり、性能アップや小型化はますます進むだろう。しかし、普及に最も重要なファクターとなる価格に関しては補助金(最大で130万円※平成22年度実績)を利用しても140万円程の商品金額、そして工事費やメンテナンス費用などの個人負担があり、一般消費者の導入にはまだまだハードルが高い。耐用年数10年と言われる燃料電池のコストを償却できない現実は、普及のブレーキになっていることは間違いない。

 そんな現状の中、住宅メーカーでは大手の積水ハウスが家庭用燃料電池を搭載した住宅を積極的に販売している。平成22年度においては2月から12月までに、2732棟の販売実績を上げており、これは実に全国における設置予定台数の4割以上を占める数字だ。このデータを見る限り、住宅業界では積水ハウスが同システム普及に相当な力を注いでいるのが分かる。

 家庭用燃料電池の普及には、まず商品の低価格をさらに進める事が大前提となるが、住宅の新築・建替えは導入のタイミング的には一番適しており、いち早く普及のために先陣を切った住宅メーカーの担う役割は大きい。給湯器としては高額な商品であるだけに、消費者へのメリットを分かりやすく伝える広報活動は、普及への側面支援としては最重要なものとなる。そして年々減少する補助金が足かせにならないよう、政府がバックアップすることも欠かせない条件だ。普及に向けて、官民一体でのプロジェクト意識を持たないことには、技術力をアピールするだけに終わってしまうだろう。