清水建設、オマーンで油田随伴水の処理プラントを稼働

2010年11月16日 11:00

 清水建設<1803>の設計製作により、オマーン国の首都マスカットにおいて、油田随伴水を処理する可搬式パイロットプラントが完成、10日、稼働を開始した。油田随伴水処理プラントの稼働は世界的にも例がなく、本プロジェクトは中東諸国から注目されている。

 パイロットプラントは、約20立方メートル、1.5tと超コンパクトながら、日量約50立法メートルの油田随伴水を処理。可搬式にした理由は、油田随伴水の含有物質やその濃度は油田によって異なることから、開発した処理システムの汎用性を各地の油田で確認する必要があるためだという。

 油田随伴水は原油とともに採掘される地下水で、その中には非常に除去しにくい形態の油分や有害な重金属などが含まれている。オマーンでは、日量30万tもの随伴水が発生する油田があり、それを簡易処理して含油濃度を平均250ppm(mg/l)程度に低減した上で地中に返送。ただ、同国では生活用水の99%を地下水に頼っていることから、処理レベルの向上が求められていた。

 今回開発した浄化システムは、油田随伴水に凝集剤を添加して油分粒子を5mm大の塊に凝集させ、マイクロバブル技術によって塊を浮上させ、除去するというものだ。これは、マイクロバブルが水中の浮遊物質と結合し浮上させるという特性を利用したもので、このシステムにより、含油濃度250ppmから0.5ppm程度に低減でき、かつ有害物質も除去できる。このレベルの含油濃度であれば、地中に返送することなく灌漑用水としても利用可能となり、オマーン国は新たな水資源を得ることになる。

 同社は、中東における油田随伴水処理プラントの受注を視野に、今後も処理システムの有効性を各方面に提案していく方針だ。
(編集担当:宮園奈美)