日本のCEOは人材改革とグローバル化に積極的

2010年08月12日 11:00

 日本IBMは10日、今年5月に発表した世界のCEO(最高経営責任者)を対象に行った調査結果「IBM Global CEO Study 2010」について、日本のCEOの傾向を深く分析し、「IBM Global CEO Study 2010 Japan Report(以下、Japan Report)」として発表した。

 Japan Reportによると、自社に最も影響を与える外部要因を「グローバル化」であると回答した日本のCEOの割合は41%で、世界のCEO全体の23%の約2倍だった。また、今後5年間で「成熟市場から新興市場へのシフト」が自社に影響を与えるとの回答は73%に上り、全体の50%と比べて約2割高くなっている。

 また、戦略実現のために、「議論の徹底」よりも「迅速な意思決定」を重視すると回答した日本のCEOは47%と、世界全体の32%を大きく上回っている。特に金融危機後も業績が好調な優良企業においては67%と、その傾向はさらに顕著だ。さらに、「口コミでの納得感醸成」よりも「トップからの意思伝達」を重視するとの回答も59%と、世界全体の25%を大きく上回った。日本のCEOは、変化の激しい環境に適応するため、迅速に意思決定し、トップダウンで実行しようとしていることがうかがえる。

 その他、日本のCEOが自社に影響を与えるものとして挙げた回答で、世界のCEOのそれを大きく上回ったのは、「環境や社会問題に対する関心の高まり」と「人材不足」。今後5年間で「環境や社会問題に対する関心の高まり」が自社に影響を与えると回答した日本のCEOは実に84%に上り、全体の59%を大きく上回っている。同様に「人材不足」が自社に影響を与えると回答した日本のCEOは71%で、中国の78%、韓国の64%と同様に高く、欧州の45%、北米の58%と比べて高い割合を示している。

 一方、将来的な経済環境の動向については、「予測ができない」と回答した割合は38%と、世界のCEOの65%に対して低い結果となった。また今後5年間に克服すべき課題の複雑さが、「実質的には複雑だと思っていない」と回答した日本のCEOは35%で、全体の10%を上回っている。この結果を見ると、日本のCEOは、事業環境の変化の方向性、自社が取り組むべきことをしっかりと理解しているということになる。

 このレポートによると、日本の企業には、人材改革に積極的で、グローバル市場で業績を高めるには自社だけでなく、外部企業との連携など外部の能力を取り組むことが重要と考えているCEOも多いようだ。
(編集担当:北尾準)