村田製作所 世界最小、最薄型の焦電型赤外線センサを開発

2010年03月01日 11:00

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今回、販売が開始されるのは、長距離検知型のIRS-B210ST01-R1(デュアルタイプ)と、微動検知型のIRS-B340ST02-R1(パラレルクワッドタイプ)の2タイプ。

 株式会社村田製作所 <6981> は先日、世界最小、最薄(4.7×4.7×2.4mm)のリフロー表面実装対応の焦電型赤外線センサ「IRS-B」シリーズを開発し、2010年2月より販売を開始すると発表した。

 赤外線センサといえば、一昔前までは防犯対策機器に使用されるものというイメージが強かったが、昨今では防犯機器のみならず、省エネ機器や家電品、介護用機器など、様々なシーンで人体検知のニーズが高まっている。しかし、通常の焦電型赤外線センサはサイズが大きく、自動機による表面実装に対応できないリード品のため、大量生産には適さず、低価格化にも限界があった。

 村田製作所では、以前より業界で唯一、リフロー表面実装対応の焦電型赤外線センサをラインナップして高い評価を得ていたが、今回の「IRS-B」シリーズはそれを上回るものとなっている。独自のパッケージング技術と焦電セラミックス材料の改良により、従来品と比べ、体積約50%、高さ約10%も小型化されており、一般的なリード品と比較すると、体積約20%、高さ約50%と、圧倒的な小型・薄型化に成功。これによって、大量生産が可能になり、低価格化も実現する。この「IRS-B」シリーズの登場により、人感検知センサの民生機器への搭載が加速することになりそうだ。

 人体検知用センサの用途としては、セキュリティ機器や照明機器の自動スイッチをはじめ、テレビやエアコン、パソコン、自動温水洗浄便座、そして最近注目のデジタルフォトフレームや空気清浄機に至るまで、幅広いニーズがある。とくに近年のエコ・ブームで需要が高まっているエコ家電には欠かせない機能の一つである。

 家電やパソコン、薄型デジタル機器などの、小型・薄型化、軽量化が要求される様々な機器はもちろんのこと、従来品では搭載を断念せざるをえなかったような小型の機器に対しても、新しい需要を見込めるだろう。

 さらに、ROHS指令での規制対象物質を使用していないので、セットメーカー側としても扱いやすい。また、センサとともに使用される集光レンズとして開発された「フラットレンズ」は、レンズの曲率を極限まで大きくしたフラット形状をしており、搭載される機器のデザイン性を損なわないことも大きな魅力となっている。

 村田製作所では、すでに月産100万個の生産体制を整えており、一個あたり約200円で「IRS-B」シリーズのサンプル提供を開始する予定だ。
(編集担当:藤原伊織)